ダイヤモンドが本物であるかどうかを知る方法について、インターネット上でたくさんのアドバイスを見ることができますが、誤った情報も多く、紹介されている方法の中には宝石を損傷させてしまうものもあります。この先をお読みになり、ダイヤモンドが本物かどうかを見分ける最善の方法を学びましょう。

最後までお読みになれなくてもこれだけは知っておいていただきたい、ということで、結論から始めましょう。ダイヤモンドの真贋を判定する最も信頼できる方法は、訓練されたジェモロジストに相談するか、独立した宝石研究所に送って分析を依頼することです。

GIAのようなラボでは、天然ダイヤモンドとダイヤモンド類似石(あるいは模造石)合成ダイヤモンドとを識別し、さらにダイヤモンドの処理の看破を行う専門知識と技術を有しています。

お手持ちのダイヤモンドにGIAダイヤモンド グレーディング レポートあるいはGIAダイヤモンド ドシエ®といったGIAのダイヤモンド レポートが既に付属しているのなら、そのダイヤモンドは本物です。それらのレポートはダイヤモンドを鑑別するだけでなく、ダイヤモンドの品質について4C(カラークラリティカットカラット ウエイト)に基づく偏りのない評価を提示してくれます。また、このレポートにはダイヤモンドのカラーの見え方あるいはクラリティを改善するために行われた可能性がある処理も開示されています。

ダイヤモンドが本物かどうかを見分ける方法:GIA ダイヤモンド グレーディング レポートおよびダイヤモンド ドシエ®

お手持ちのダイヤモンドにGIAダイヤモンド グレーディング レポート(上)あるいはGIAダイヤモンド ドシエ®(下)といったGIAのダイヤモンド レポートが付属していれば、そのダイヤモンドが本物であることが分かる。これらのレポートは、本物のダイヤモンドについてのみ発行される。

GIAのオンライン データベースである、GIAレポート チェックにダイヤモンドのレポート番号を入力してご自分のダイヤモンドのレポートを確認し、グレードの詳細を閲覧することもできます。

GIAダイヤモンド グレーディング レポートを取得するには?

GIAレポートをお持ちでなく、取得を希望される場合は、お近くの宝石商に石をGIAに送るように依頼することができます。宝石商は発送方法や保険の要件に精通しており、作成されたGIAレポートがあなたのお手元に届けばその内容を説明してくれるはずです。お近くの宝石商を見つけましょう

自分でできるダイヤモンド検査 – 迷信と事実

ここまでお読みいただいたところで、あなたはまだ、もっと「簡単」にできる方法があるのではないかと思われることでしょう。ここで、私たちがオンライン上で見つけた検査方法の一部と、それらを避けるべき理由をご紹介します!

ダイヤモンドが本物かどうかを見分ける方法:天然ダイヤモンドとダイヤモンド模造石の一覧

天然ダイヤモンドと様々なダイヤモンド類似石。上段(左から右):天然ダイヤモンド、合成ルチル、ガドリニウム ガリウム ガーネット(GGG)、合成スピネル。下段(左から右)チタン酸ストロンチウム、合成コランダム、イットリウム アルミニウム ガーネット(YAG)、無色ジルコン。写真:Robert Weldon/GIA、

迷信:宝石商が使うルーペを使って石を検査すること。本物のダイヤモンドにはインクルージョンがあり、「偽物」のダイヤモンドは完璧であるはずだ。

事実:ほとんどの消費者にとって、ルーペを使ってインクルージョンを見つけるのは難しいことです。ダイヤモンドを見た経験がいくらかなければ、反射とファセット稜線により、小さなインクルージョンを見ることができない可能性があります。また、ダイヤモンドがフローレスの場合は、インクルージョンがありません!

自然の産物であるダイヤモンドですので、そのほとんどにインクルージョンが含まれていることは事実ですが、模造ダイヤモンドは天然であれ合成であれ、インクルージョンを含まないというのは迷信です。インクルージョンは、宝石の結晶成長プロセスの結果により生じるものです。実際、インクルージョンは、ジェモロジストが天然宝石と合成宝石を区別するのに役立つこともあります。また、ガラスの模造石は気泡を有することがあり、訓練を受けていない人にはこれが天然のインクルージョンのように見えることもあります。

一般の消費者が見た際に、ダイヤモンドのように見える可能性のある天然石には、無色のサファイア、無色のトパーズ、無色のジルコンなどがあります。

ダイヤモンドが本物かどうかを見分ける方法:天然ダイヤモンドと合成モアッサナイト

天然ダイヤモンド(左上)と、小さな6石のニアカラーレスからグリーニッシュのカラー範囲のラボで製造したモアッサナイト。
写真:Robert Weldon/GIA

多くの天然石には、合成石の(すなわち、ラボで製造された)対応物が存在します。こうした人工素材は、天然宝石と本質的に同じ化学組成、結晶構造、光学的および物理的特性を持っています。

これらの人工宝石の中には、合成ルチル、無色の合成スピネル、無色の合成サファイアのようにダイヤモンドを模倣するために使われるものがあります。また、対応物としての天然宝石が存在しない人工ダイヤモンドの模造石もあります。これらは実験室で作り出された全くの人工物で、YAG(イットリウム アルミニウム ガーネット)、GGG(ガドリニウム ガリウム ガーネット)、CZ(合成キュービックジ ルコニア)、合成モアッサナイトなどがあります。

ダイヤモンドが本物かどうかを見分ける方法:2つの合成(ラボで製造された)ダイヤモンド。

GIAがグレーディングした、合成ダイヤモンド2点。左の0.39カラット(ct)は、カラーF、クラリティVVS2とグレーディングされた。右の0.83ctのダイヤモンドは、カラーJ、クラリティVVS2とグレーディングされた。写真:Jian Xin (Jae) Liao/GIA

合成ダイヤモンドは模造石ではありません。
本物のダイヤモンドです。

合成ダイヤモンドも人工物で、天然ダイヤモンドと同じ特性を持っています。合成ダイヤモンドは本物のダイヤモンドです。しかしながら、ラボで製造されたダイヤモンドと天然ダイヤモンドとの価格の違いはかなり大きくなります。ルーペで覗くだけでは、合成ダイヤモンドを見分けることはできません。唯一の方法は、ラボで検査することです。

ファセット稜線に沿ってアブレージョン(摩耗)のあるダイヤモンド

よく言われている迷信に反して、本物のダイヤモンドは鋭いエッジを持っているとは限らない。ダイヤモンドはアブレージョン(磨耗)を示すことがある。ファセット稜線に沿った微小なニックの連なりによって、ダイヤモンドのエッジは白い、あるいはぼやけた外観となる。このクラリティ特徴は、GIAダイヤモンド グレーディング レポートに記載される。写真:Mitchell Moore/GIA

迷信:本物のダイヤモンドには「鋭いエッジ」があるが「偽物の」ダイヤモンドにはない。

事実:このことはプラスチック(および一部のガラス)のような金型で作られた模造石にのみ当てはまります。天然ダイヤモンドには鋭いエッジがありますが、合成ダイヤモンドや、ダイヤモンドを模倣するために使用されるいかなる宝石素材でも同様です。さらに、天然でも合成でも、あらゆる宝石に破損または損耗や割れ目によって生じたファセット稜線(2つのファセットが交差する線)の磨耗が見られることがあります。

ダイヤモンドが本物かどうかを見分ける方法:オールドマイン カット ダイヤモンドを使った、アンティークのビクトリア朝のイヤリング

アンティークジュエリーをよくご存知でなければ、これらの1860年代頃のビクトリア朝のゴールドとシルバーのイヤリングのセッティングは、最高品質のようには思えないかもしれない。しかし、セッティングだけを見て宝石の価値がないと判断するのは早すぎる。このイヤリングには、総重量11.94カラットの一対のオールドマイン カット ダイヤモンドが使われている。写真:David Behl 著作権:Janet MavecとGIA

迷信:使われている金属とセッティングで本物のダイヤモンドを見分けることができる。

事実:天然ダイヤモンドは金やプラチナにセットされることが多いのですが、金属だけでは決定的な手掛かりにはなりません。金とプラチナの価格が高いため、今日ではダイヤモンドは銀にセットされることもあります。アンティーク ジュエリーの中にはダイヤモンドに金と銀を混同したセッティングを使っているものもあります。

セッティングのスタイルも良い手掛かりにはなりません。ダイヤモンドは様々な台座にセットされます。そしてセッティングの質が悪いことは、ダイヤモンドが本物でないことを必ずしも意味するものではありません。セッティングの質は、一般的な損耗や割れ、あるいは経験の浅い宝石商によって行われた作業の結果に過ぎないこともあります。

迷信:宝石を紙やすりでこすると、ダイヤモンドならば傷がつかない。

事実:これは破壊検査であり、絶対に試してはいけません!紙やすりの砥粒は通常モース スケールで7〜9の硬度を持つため、その砥粒より軟らかい素材に紙やすりを使用すると損傷します。石がセットされている場合、金属を傷つけるリスクがあるだけでなく、宝石の表面を磨耗し、その価値を減少させてしまいます。

迷信:フォグ テストとして、宝石に息を吹きかけ、本物のダイヤモンドならば曇らない。

事実:この検査では常に同じ結果が示されるとは限りません。インターネットのアドバイスでは、結果を見るために宝石にどれだけ長く息を吹きかける必要があるかを教えてくれません。実際に曇りを見ることができるように、宝石の表面積がどれくらい大きくなければならないかも示されていません。また、合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドはまったく同じように反応します。周囲の湿度が結果に影響することもあります。

ラウンド ブリリアント カット天然ダイヤモンドの婚約指輪(左)とエメラルド カット天然ダイヤモンドの婚約指輪(右)。

カッティングスタイルは、ダイヤモンドの視覚的な外観に影響を与えることがある。ラウンド ブリリアント カットの天然ダイヤモンド(上)はエメラルド カットの天然ダイヤモンド(下)より輝いて見える。ダイヤモンドは両方ともプラチナにセットされている。提供: JK & Co. Jewelers

迷信:きらめきがあるならば、本物のダイヤモンドに違いない。

事実:多くの消費者は、ファセットされた宝石の光との相互作用の視覚的な効果全体を表す際に、ごく一般的な表現として「きらめき(スパークル)」という言葉を使用します。訓練を受けていない人の目には、合成モアッサナイト、合成キュービック ジルコニア(CZ)、または無色の天然ジルコンのようなファセット加工された宝石なら何にでもきらめきを見ることでしょう。

一方、エメラルド カットのダイヤモンドは、そのような一部のラウンド ブリリアントのダイヤモンド類似石のようには輝きません。

ジェモロジストがダイヤモンドのきらめき(スパークル)と言う場合、シンチレーションという特別なものを意味します。きらめきに加えて、シンチレーションも、ダイヤモンド内の反射によって引き起こされる、明るい部分と暗い部分のパターンのことを指します。シンチレーションはダイヤモンドの外観の1つの側面にすぎません。他の要素として、ブライトネス(ダイヤモンドをフェイス アップで見た時にダイヤモンドから反射する内部および外部の白い光)およびファイアー(白色光が虹の各色へと分散して見える)があります。ダイヤモンドに独特の外観をもたらしているのは、これらの要素の組み合わせです。

2つのラウンドブリリアントカットダイヤモンド。

カットの品質がいかに見た目を左右するかを示すために選ばれた、2つのラウンド ブリリアント カットのダイヤモンド。エクセレント カット(左)はプアー カット(右)のものと比べ、より輝いている。写真:Kevin Schumacher/GIA

きらめき、あるいはより正確に言うとシンチレーションは、多くの要因により変わります。

  • カッティング スタイル:ブリリアント カット ダイヤモンドは通常、ファセット数が同じでシェイプが同じ場合でも、ステップ カット ダイヤモンドよりも輝いて見えます。この外観の違いは、ファセットの配置によるものです。
  • ファセットの数:ダイヤモンドにファセットが多いほど、光を跳ね返したり拡散させたりする反射面が多くなります。57または58個のファセットがあるラウンド ブリリアント カットのダイヤモンドは、17または18個のファセットがあるシングル カット ダイヤモンドよりきらめきがあるように見えます。
  • カットの質:良いカットが施されていないダイヤモンドは、ダイヤモンドではあるものの、期待する視覚効果を得ることができないかもしれません。きらめきのないダイヤモンドはダイヤモンドではないと思い込んではいけません。
  • 照明:ダイヤモンドは拡散照明とスポットライトの下では見え方が異なります。光がダイヤモンドの見え方にどのように影響するかを理解しましょう。
  • 清潔さ:汚れているダイヤモンドはきらめきません。ダイヤモンドは親油性のため、定期的にクリーニングすることが重要です。ダイヤモンドをきれいに保つ方法はこちらでご覧ください。

迷信:新聞を使った検査で、本物のダイヤモンドからは文字が透けて見えない。

事実:これもまた問題のある検査方法です。この論理的根拠としては、良いカットのモダン ラウンド ブリリアント ダイヤモンドは屈折率が高い、つまり、光が通過する際に、光が減速して曲がることを意味します。ダイヤモンドを通して新聞を見ると、屈折により視覚的な歪みが生じ、新聞を読むことができないということです。

この検査では、熟練したジェモロジストであれば素早く結果を得ることができますが、経験の浅い方にとっては非常にわかりにくく誤解を招く恐れがあります。決定的な検査として使用するべきではありません。多くの変動する要素が結果に影響を与えます。例えば、照明の状態や環境、石が清潔かあるいは汚れているか、石をどのように新聞の上に配置するのか、検査する人の視力、検査される宝石のシェイプとプロポーション、および/または石がセットされているかどうかなどです。

ラウンド ブリリアント カット ダイヤモンドの婚約指輪。

18Kローズ ゴールドにセットされた14個のラウンド ブリリアント ダイヤモンドで彩りが添えられた、ラウンド ブリリアント カットの天然ダイヤモンド。提供: JK & Co. Jewelers

残念ながら、お手持ちの宝石が天然ダイヤモンドなのかその他の素材なのかを知るための、簡単で信頼できる自宅で行える検査はありません。最善の方法は、ご自分のジュエリーを熟練した宝石商で調べてもらい、必要であれば、独立した宝石ラボで宝石を検査するよう依頼することです。

ダイヤモンドをより深く知る準備ができましたか?引き続きダイヤモンドがどこから来たかをお読みください。