ダイヤモンドを購入する場合、カラット重量は考慮に入れるべき重要事項の一つと言えるでしょう。 簡単な測定結果のように見えますが、単なる数字というだけではありません。 知っておくべき重要な情報はこちらです。

この記事の内容は次のとおりです。


カラット重量とは?

ダイヤモンドの重量は、カラットと呼ばれるメートル法単位で表します。 1カラットは200ミリグラム、つまり5分の1グラム(0.2グラム)に相当します。 1オンスは、142カラットです。  カラットはまた、ほとんどの宝石の標準的な重量単位でもあります。

現代のカラットシステムは、イナゴ豆の木から取れる種子に由来しています。 その小さな種子は大きさと重さがほぼ均一だったため、宝石の重量を決める際に便利な基準となりました。 初期の宝石商および宝石職人は、手持ち式の天秤のおもりとしてイナゴ豆を使用しました。

20世紀初頭に、カラット重量は0.2グラムとして統一されました。 これにより、ダイヤモンドの重量を表すための統一された、世界中で通用する基準が取引業者に与えられました。

イナゴ豆の種子とさや

イナゴ豆のさやから取れる種子がほぼ同じ大きさであることに注目。 写真: Orasa Weldon/GIA

カラットは「ct」と略され、重量は通常は少数点以下2桁までの数字で表されます(1.00ct、0.76ct、1.57ct)。

ドル同様、カラットは100に分割され、分割された単位は「ポイント」と呼ばれ「pt」と省略されます。カラットをドル、ポイントをセントと考えるのが覚えやすい方法です。 表記法も同様です。$1.34は1ドル34セントを表しますが、1.34ctは1カラット34ポイントを意味します。

合計64.24カラットのダイヤモンド・ネックレスからさらにつり下がる25.04ctのペアシェイプのダイヤモンド

大粒のダイヤモンドがお好みなら、このネックレスをぜひ。 大粒のペアシェイプの石は重さ25.04ctで、合計で64.24カラットのきらめく数々のダイヤモンドから吊り下げられている。 写真:Robert Weldon/GIA。 提供: Chatila


GIAのダイヤモンドカラット重量測定方法

GIAにダイヤモンドが提出された時、グレーディング過程の最初のステップの一つが重量の測定です。 精度、正確さ、一貫性を保証するため、GIAでは個々のダイヤモンドの計量にマイクロ電子天秤を使用しています。 GIAは、使用する機器の較正と保守手順を厳格に実行しています。 これらの手順は製造業者の推奨レベルを超えています。 さらにラボでは、室温や湿度など、測定結果の質に影響する環境条件を監視、制御しています。

マイクロ電子天秤で計量中のダイヤモンド

GIAに提出されるダイヤモンドは、非常に精度の高いマイクロ電子天秤で計量される。 写真: Valerie Power/GIA

ダイヤモンドの寸法測定も行われます。 光学測定器がダイヤモンドの寸法(長さ、幅)およびプロポーション、ファセット角度を計測し、これらが後にダイヤモンドのカットグレードを決めます。


ダイヤモンドのカラット重量と切り上げ(または切り下げ)

取引業者のほとんどがダイヤモンドの計量をカラットの1000分の1(小数点以下3桁)まで行いますが、GIAでは小数点以下5桁、カラットの10万分の1まで計量し、最大限の精度を保証して、識別のための特徴を提供します。

また、GIAが使用する通常の切り上げ、切り下げルールは、通常の数学的なルールよりも厳格です。 前述のとおり、慣例ではダイヤモンドのカラット重量は小数点以下2桁までの数字で表されます(0.71ct、1.34ct)。 この数字を出すのに、GIAは1000分の1の桁に9がある場合にのみ、すぐ上の位の100分の1に切り上げます。 たとえば、1.769ctの重さのダイヤモンドは1.77ctに切り上げられますが、1.768ctのものは1.76ctに切り下げられます。 こうしたカラット重量の違いはわずかなように見えますが、価格は大きく違ってきます。

5個のファンシーカラーダイヤモンドがダイヤモンドの相対的なサイズを示す

ダイヤモンドの相対的なサイズが、この写真でわかる。 左から右: イエロー プリンセスカット(0.86ct)、ピンク ラウンドブリリアントカット(0.68ct)、グレイブルー ラウンドブリリアント(0.56ct)、グレイ ラウンドブリリアント(0.30ct)、ブルーグリーン ラウンドブリリアント(0.15t)。 写真:Robert Weldon/GIA

ダイヤモンドのグレーディングが完了すると、カラット重量と寸法は、カラークラリティ、カットグレード(該当する場合)とともにGIAダイヤモンドグレーディングレポートに明確に記されます。 また、グレーディングの過程で判明したダイヤモンド処理についても詳細に記載されます。

GIAダイヤモンドグレーディングレポートにはダイヤモンドの重量が表示されている

ダイヤモンドの重量は、GIAダイヤモンドグレーディングレポートに明確に記載される。 写真:GIA


カラット重量はなぜ重要か?

他のすべての要因が等しい場合、カラット重量が増加するにつれ、ダイヤモンドの価格は上昇します。 1.00ct以上のダイヤモンドは比較的珍しいため、こうした石の場合、価格が劇的に増大します。

カラット重量はまた、カラー、クラリティ、カットグレードが同じで重量が異なるダイヤモンドの価格を比較するのに役立ち、それぞれの石のカラットあたりの価格を比較して最も価値の高いものを見分けることができます。


カラット重量-購入の際に考慮すべきこと

カラット重量に関連して、購入の際に知っておくべきことがいくつかあります。


カラット重量と宝石のサイズは別のもの

宝石のカラット重量と物理的な寸法を同等とみなすのは、よくある間違いです。
大きい石ほど重くなる、というのは理にかなったことのように見えます。 これは、ダイヤモンドとダイヤモンド、あるいはアクアマリンとアクアマリンなど、同じ素材の二つの石を比較する場合に当てはまります。

しかし大きさは、宝石素材の比重(宝石の重さの、同じ体積の水の重さに対する比)に対応しています。
比重(密度)が異なる素材どうしでは、同じ重量であっても大きさが異なります(1オンスの鉛と1オンスの羽毛を比較してみてください)。 たとえば、ダイヤモンドの比重(3.52、つまり、同じ体積の水の3.52倍)は、ルビーの比重(4.0)よりも小さいため、1カラットのダイヤモンドは1カラットのルビーよりも大きくなります。

大きいダイヤモンドほど、出費に対する価値が上がるか?

必ずしもそうではありません。 ダイヤモンドに関しては、カラット重量が増えても見た目の大きさにはつながりません。 たとえば良いカットが施されていないダイヤモンドの場合、深すぎてガードル下部に隠れた重さがある可能性があります。 ダイヤモンドがセットされている場合、この重さの分は目に見えず、またダイヤモンドをより魅力的に見せることもありませんが、ダイヤモンドの重量は増大します。

ダイヤモンドの輪郭の両側にある過度のふくらみを斜線付きで示した図

斜線付きで示された輪郭の両側の過度のふくらみによってダイヤモンドの重量が増してはいるが、ダイヤモンドを上から見た時の見た目の美しさやサイズの印象が良くなったわけではない。 図:Peter Johnston/GIA


マジックサイズ

先に述べたとおり、すべての要因が等しいダイヤモンドの場合、重量が増大するにつれその価値も上昇します。 特定の重量の境界は「マジックサイズ」と呼ばれ、カラットあたりの価格が大幅に上昇します。 これは、この境界の重量、つまりしきい値が人気の高い重量と重なるためです。人気が高いということは需要が高いということであり、したがってこうした重量の価格が高くなるのです。 この傾向は、1カラットのマジックサイズにおいて特に顕著です。

ダイヤモンドの価値が特定の重量で断続的に上昇することを示したグラフ

0.25ct、0.50ct、0.75ct、1.00ctといったマジックサイズでは、ダイヤモンドの価格が上昇する。 図:Peter Johnston/GIA

2つのダイヤモンドを簡単に比較してみると、マジックサイズが価格にどう影響するかがわかります。 一方のダイヤモンドが0.96ctで、もう片方が1.02ctの場合、6ポイント(0.06ct)のサイズの違いはほとんど見分けがつきません。 それでも、両方ともDカラーのラウンドブリリアントで、クラリティとカットが全く同じの場合、価格は大きく異なります。 二つめのダイヤモンドは「マジックサイズ」の1カラットをわずかに超えることから、その価格が20%も高くなる可能性があります。

1.07ctのダイヤモンドの婚約指輪

このTiffany & Co.(ティファニー社)製1.07ctのダイヤモンドの
指輪はマジックサイズである。 提供: TrueFacet

ですが、一部の人々にとってはカラット重量は象徴であり、マジックサイズを手に入れるためにより高い代償を支払います。
マジックサイズには別の側面もあります。マジックサイズがあまり重要でないと考えるならば、この領域よりわずかに軽いダイヤモンドを探して節約することもできるのです。

カラット重量がすべてではありません

購入しうる、最も大粒のダイヤモンドが欲しい場合、クラリティ、カラー、カットのいずれかまたはすべてにつき妥協しなければならず、すなわち美しさや輝きを犠牲にしなければならない場合があるのです。 ダイヤモンドを選ぶということは、4Cを優先させ、それから何らかの妥協をすることです。 自分にとって最も重要なCを決めることについての考察は次のとおりです。


カラット総重量

購入のための賢い意思決定をする際、ダイヤモンド用語の理解が欠かせません。 「カラット総重量(略してtcw)」は、ダイヤモンドのみを使用したジュエリーにおいて、すべてのダイヤモンドを合わせた重量を指します。

総重量が2.15tcwとなる多数の小さな メレーダイヤモンド をセットした婚約指輪は、2.15ctの 一粒ダイヤモンドの婚約指輪 よりもかなり低価格となります。 繰り返しますが、サイズ、希少性、価格を考慮に入れてください。

メレーのヘイローと天然ピンクダイヤモンドに囲まれた、クッションカットダイヤモンドとプラチナの婚約指輪

このTiffany & Co.(ティファニー社)の 婚約指輪には、合計0.06カラットの天然 ピンクダイヤモンド と合計0.34カラットのメレーで囲まれた、0.84ctのクッションカットのダイヤモンド一石がセットされている。 カラット総重量は1.24tcw。 提供: TrueFacet(トゥルーファセット)

婚約指輪にダイヤモンド以外の宝石が使用されている場合、すべての石の重量を合わせたものを「宝石の総重量」と呼びます。


カラット (carat)、カラット (karat)、キャロット(carrot)の違い

次は、説明しておく必要のある最後の用語です。 これまでにお分かりいただいたとおり、カラット(carat)とはダイヤモンドや他の宝石の重量を示すメートル法単位です。 カラット(karat、略してK)は、金の純度の尺度です。 カラット(karat)は24に分割されるため、18Kとは18が金で6が他の金属(銅、銀、亜鉛など)であることを意味します。  キャロット(carrot)は、ご存知、うさぎが食べることで知られているものです。

ダイヤモンドの婚約指輪は、愛の象徴として一生に一度購入するものです。 カラット(carat)とポイントについて理解することは、この「重みのある」意思決定をする際に役立ちます。

カラット重量に加え、GIAグレーディングレポートにはお持ちのダイヤモンドについての情報が豊富に記載されています。 より詳しくお調べになりたい場合、このシリーズの他の記事もご参考になることと思います。

GIA ダイヤモンドグレーディングレポート:ダイヤモンドのカラーグレードを理解する
GIA ダイヤモンドグレーディングレポート: ダイヤモンドのクラリティのプロット図を理解する
GIA ダイヤモンドグレーディングレポート:ダイヤモンドのカットグレードを理解する