提供:Smithsonian Institution(スミソニアン協会)Chip Clark氏
ダイヤモンドの蛍光は、長波紫外線にさらされるとダイヤモンドが輝きを放つという魅力的な現象です。 この現象は、ダイヤモンドの価値に影響を与えることがあります。 また、ダイヤモンドの外観に影響を及ぼすこともあります。 では完璧なダイヤモンドを選ぶ際、蛍光をどのように考慮すればよいのでしょうか? この記事では次の内容について説明します。
- ダイヤモンドの蛍光とは何か?
- すべてのダイヤモンドが蛍光を示すのか?
- ダイヤモンドの蛍光にグレードはある?
- 蛍光によってイエロー ダイヤモンドはより白く(=無色に)見えるか?
- 蛍光はダイヤモンドの外観を濁らせる原因になるか?
- 一般の人が、蛍光を発するダイヤモンドと発しないダイヤモンドを見分けることができるか?
- 蛍光のあるダイヤモンドは良い?それとも良くない?
ダイヤモンドの蛍光とは何か?
蛍光とは、物体が可視光を発するときに見られる輝きのことです。 ダイヤモンドの中には、太陽のような光源からの長波紫外線(UV)にさらされると蛍光を示すものがあります。これにより、青みがかった光や、まれに黄色やオレンジ色の光を発することがあります。 紫外線光源が無くなると、ダイヤモンドは蛍光を発しなくなります。
すべてのダイヤモンドが蛍光を示すのか?
いいえ。長波紫外線にさらされると、約25%から35%のものが、ある程度の蛍光を示します。 これらのダイヤモンドの95%以上が青い蛍光を発します。 まれに黄色や緑色のような他の色の蛍光を発することもあります。
ダイヤモンドの蛍光にグレードはある?
蛍光はGIAの4C(カラー、クラリティ、カット、カラット重量)のようなグレーディングの要素ではありませんが、鑑別する際の特徴とされています。 GIAダイヤモンド グレーディング レポートとダイヤモンド ドシエでは、ダイヤモンドの蛍光について、長波紫外線下での観察による強さによりNone(なし)、Faint(フェイント)、Medium(ミディアム)、Strong(ストロング)、Very Strong(ベリース トロング)で表現しています。 蛍光がミディアム、ストロング、ベリー ストロングの場合、蛍光の色も記載されます。
蛍光によってイエロー ダイヤモンドはより白く(=無色に)見えるか?
業界に携わる人の中には、青色の蛍光が特にカラー グレードがIからMのダイヤモンドの外観を高めると考える人もいます。 自然光の昼光の一部である紫外線下では、青色蛍光により、僅かにイエローがかったダイヤモンドがより無色に近く見えることがあります。 そのため、ベリー ストロング(非常に強い)〜ミディアム(中)の青色蛍光を有する、カラー グレードがIからNのダイヤモンドは、蛍光を発しない同様のカラー グレードのダイヤモンドよりカラットあたりの価格がわずかに高くなることがあります。
カラー グレードの高いダイヤモンドの場合は、逆のことが当てはまります。 宝飾業界では、青味がかった蛍光を放つDからHの色の範囲のダイヤモンドは、蛍光を発しない同様のグレードのダイヤモンドよりも好ましくないとされています。これは、青味がかった蛍光によってダイヤモンドの外観が濁ったり油っぽく見えたりすると思われているためです。 GIAが最近行った研究では、ダイヤモンドに光散乱の欠陥がある(有名なポーチュギーズ ダイヤモンドなど)極めてまれなケースを除き、青色の蛍光は透明度にほとんど、あるいはまったく影響を与えないことが明らかになりました。 濁りはこれらの欠陥により生じるもので、強い蛍光によって濁りがさらに強まる場合があり、ダイヤモンドのフェイス アップのパターンのコントラストが低下します。 ただし、蛍光自体は濁りの原因にはなりません。 また、このいわゆる「オーバー ブルー」の濁りの影響が生じるのは、GIAに提出された蛍光を示すダイヤモンドの 0.2%未満です。
それでも、蛍光と濁りが関連しているという考えは相変わらず存在しています。蛍光が非常に強いDからHの色範囲のダイヤモンドは、色や透明度が蛍光の影響を受けない可能性が高いにもかかわらず、蛍光のないダイヤモンドよりも価格が安く販売されていることがよくあります。 このようなダイヤモンドはお買い得品となるでしょう。 GIAカラー スケールに関する詳細は、GIA ダイヤモンド カラー チャートをご参照ください。
蛍光はダイヤモンドの外観を濁らせる原因になるか?
いいえ、蛍光はダイヤモンドの外観を濁らせる原因になりません。 蛍光のため、光散乱の欠陥によって生じたダイヤモンドの既存の濁りが増加し、フェイス アップのパターンのコントラストが低下する可能性がありますが、蛍光自体が濁りの原因となるわけではありません。 光散乱の欠陥は非常にまれであるため、ほとんどの消費者は、ダイヤモンドの蛍光がStrong(ストロング)またはVery Strong(ベリー ストロング)であったとしても、ほとんどの照明下で蛍光がダイヤモンドの外観に影響を与えることを心配する必要はありません。 しかしこれは、消費者はダイヤモンドを実際に目で見る必要があるということを意味します。 もし濁りがあったとして、それが蛍光によって強調される場合は、(たとえば)日光と同等の照明の下でも目立ちます。

中央のダイヤモンドは、ストロングからベリー ストロングの蛍光を放つ Hカラーのダイヤモンドである。 両側にある2つのダイヤモンドは蛍光のないHカラーのダイヤモンド。 肉眼で観察した場合、色や透明度の違いは見られない。 提供:Jian Xin (Jae) Liao
一般の人が、蛍光を発するダイヤモンドと発しないダイヤモンドを見分けることができるか?
青色蛍光がダイヤモンドの外観に与える影響を研究するために、GIAの科学者は E、G、I、K のカラー グレードのダイヤモンドのセットを作りました。 それぞれの組のダイヤモンドは、青色蛍光の強度を除いて可能な限り類似するようにしました。 ダイヤモンドのグレーダー、熟練した専門家、平均的な観察者が、ダイヤモンドを制御された条件で見て、その外観を判断しました。 ジュエリーを購入する一般の消費者にあたる平均的な観察者には、蛍光による系統だった影響は見受けられませんでした。 概して観察者は、強い青色の蛍光を発するダイヤモンドは、テーブルを上にして見たときの方が色の見栄えが良いと感じました。 ほとんどの観察者にとって、蛍光と透明度は関連してはいませんでした。
蛍光のあるダイヤモンドは良い?それとも良くない?
蛍光は、良くも悪くもありません。 蛍光を発するダイヤモンドを美しく魅力的だと思う人もいれば、そう思わない人もいます。 意見はさまざまです。
青味がかった蛍光を持つダイヤモンドをご検討の場合、自然の昼光を含む様々な種類の照明の下で見て、カラー グレードが同じ他のダイヤモンドと比較し、違いがあるかどうか確認しましょう。 違いがあるとわかった場合は、その違いが気に入ったかどうか考えてみてください。
こちらの記事ではダイヤモンドの蛍光について詳しく説明しました。次は、光がダイヤモンドの外観にどのような影響を与えるかについて学びましょう。