ダイヤモンドジュエリーの購入は楽しく素敵な経験ですが、 数多くの宝石がショーケースで輝きを放ち、自分にぴったりのものを選ぶのは難しいことがあります。 ダイヤモンドをお探しの際には、ダイヤモンドの品質を表す 4C を理解し、独立した機関からダイヤモンドグレーディングレポートを入手することが重要です。 GIA ダイヤモンドグレーディングレポートでは、ダイヤモンドの 4C に関する客観的で公平な評価が提供されます。ですので、正しい判断に基づいてダイヤモンドを購入することができます。

GIA レポートは、検査対象となったダイヤモンドに固有のものであり、お持ちのダイヤモンドの特徴や品質を理解するのに役立つ情報が豊富に含まれています。 前の記事では、GIA のクラリティのグレーディング方法に加えて、クラリティのグレードやスケールなど GIA ダイヤモンドグレーディングレポートのクラリティに関する情報や、プロットについて説明しました。

ここでは、D から Zの色の範囲に該当する標準的なラウンドブリリアントダイヤモンドにおいて、ダイヤモンドのカットの情報がどのように提示されるかをより詳しく見ていきます。また、GIA でのダイヤモンドのカットのグレーディングに含まれる要素について説明します。 この記事で、 GIA ダイヤモンドグレーディングレポートに提示されるダイヤモンドのカットについて解釈し理解することができるようになります。

I. ダイヤモンドのカットの品質を左右する要因

ダイヤモンドを、角度がある小さな鏡の集まりとして考えてみましょう。 標準的なラウンドブリリアントカットのダイヤモンドにはこれらの鏡が 57 または 58 あり、ジェモロジストはこれを「ファセット」と呼びます。これらのファセットは互いに光を反射し合いダイヤモンド内に光を跳ね返し、その光を色のスペクトルに分割し、見る者の目に光が跳ね返ってきます。

これは、見る者やダイヤモンドがわずかに動いただけで変化を見せる、素晴らしい光のショーと言えるでしょう。 これが光がダイヤモンドの外観に影響を与えるしくみです。

ファセットは、ダイヤモンドのカットの品質の鍵となります。 ファセットの角度、サイズ、互いの配置関係、さらにはファセットの表面の品質などの要因が、ダイヤモンドをフェイスアップで見たときのあの素晴らしい輝きをもたらすためには非常に重要となります。

この「GIA ダイヤモンド構造図」では、ダイヤモンドのカットグレードを示す要素が詳しく示されています。

この「GIA ダイヤモンド構造図」では、ダイヤモンドのカットグレードを示す要素が詳しく示されています。

D から Z までの色範囲に該当する標準的なラウンドブリリアントカットダイヤモンドのカットグレードを判定する際、GIA では以下が検討されます。

  • ダイヤモンドが良好に光と相互作用する程度
    • 輝き(ダイヤモンドから白色光がどのように反射されるか)
    • ファイアー(白色光が分散し虹の色となって見える)
    • シンチレーション(ダイヤモンド内の反射による、明るい部分と暗い部分のパターン)
  • ダイヤモンドのデザイン、ファセット加工、技術のレベル
    • 直径に対するダイヤモンドの重量
    • 耐久性に影響を与える、ダイヤモンドのガードルの厚さ
    • ダイヤモンドのファセットの配置の対称性(全ファセットの角度や相対的な位置など)
    • ファセット表面の研磨の品質

これらすべての要因を総合して、ダイヤモンドの全体的なカットグレードが決定されます。

GIA のカットグレーディング方法

  • 厳密に制御された照明や観察条件の下で、訓練を受けたグレーダーが、厳密に校正された光学的測定装置を使用しつつ、視覚での観察を組み合わせて、全体的なダイヤモンドカットの品質評価に必要なデータを集めます。
  • 光学的測定装置でダイヤモンドの輪郭画像を400枚キャプチャーし、石の 3D 画像が作成されます。その 3D 画像をもとに必要なデータが抽出され、ダイヤモンドの全体的な寸法とプロポーションの平均値が判断されます。
  • 視覚による観察は、ポリッシュ、シンメトリー、ガードルの厚さを評価するために行われます。

GIA レポートにおけるカットについての表記

GIA では、D から Z までの色範囲の標準的なラウンドブリリアントカットダイヤモンドに関して、全体的なカットグレードを判定します。 カットグレードは、エクセレント、ベリーグッド、グッド、フェア、プアとして評価されます。

ダイヤモンドが最高の評価である「エクセレント」としてグレーディングされるには、明るい部分と暗い部分のパターンが均一である必要があります。

GIA レポートのカットについての関連情報

GIA ダイヤモンドグレーディングレポートでは、全体的なカットグレードとスケールが提供される上、 カットグレードに影響を与える以下のような要因についても深い見識を提供します。

形状およびカットのスタイル:

ダイヤモンドの形状とは、フェイスアップで見たときの石の輪郭を指します。 カットのスタイルとは、そのファセットの配置を指します。 例えば、「ラウンドブリリアント」とは、ファセットが57個か58個あるブリリアントスタイルでファセットカットされた、丸い形の石のことを言います。

寸法:

ダイヤモンドの寸法は小数点第2位までのミリメートルで表示され、ラウンドダイヤモンドの場合は「最小直径 - 最大直径 × 深さ」、ファンシーシェイプダイヤモンドの場合は「長さ × 幅 × 深さ」で記載されます。 グレーダーは、ダイヤモンドの直径に対するカラット重量で重量比を判断します。これはダイヤモンドの全体的なカットグレードに影響を与える要因の一つでもあります。

ファセットと呼ばれる小さな鏡を思い出してください。ダイヤモンドのプロポーション、つまりダイヤモンドのファセットの角度と相対的な寸法により、光との相互作用が生じます。 すべての GIA ダイヤモンドグレーディングレポートには、ダイヤモンドのプロポーションを示す図が掲載されています。 またこの図で、耐久性に影響を与えるダイヤモンドのガードルの厚さについても知ることができます。

ヒント:プロポーションが異なるダイヤモンドでも、カットグレードが同じレベルになることがあります。ダイヤモンドを比較する際にぜひ覚えておきましょう。 ですから、レポートに記載された数字だけで判断するのではでなく、ダイヤモンドをご自分で観察してしっかりと判断されることが重要です。

ポリッシュ:

ポリッシュとは、ファセットの表面の全体的な品質と状態のことで、研磨工程や着用により生じたブレミッシュも評価に含まれます。 ポリッシュは、エクセレントからプアまでのスケールで評価されます。

シンメトリー:

シンメトリーは、ダイヤモンドの輪郭、ファセットの形、配置、並びの正確さのことで、エクセレントからプアまでのスケールで評価されます。 ラウンドブリリアントダイヤモンドの輪郭は対称的である必要があります。 これを8等分したパイに例えると、8つのすべてのピースが同一でなければなりません。

ヒント:トリプルエクセレント(Ex Ex Ex):全体的なカットグレード、ポリッシュ、シンメトリーのすべてにおいてエクセレントのグレーディングを持つダイヤモンドを表す用語です。

写真提供:Platinum Guild International(プラチナ・ギルド・インターナショナル)、USA

提供:Platinum Guild International(プラチナ・ギルド・インターナショナル)、USA

標準的でないラウンドブリリアントカットのダイヤモンド

現時点では、標準的でないラウンドブリリアントダイヤモンドまたは長方形、楕円形、スクエアなどのファンシーシェイプダイヤモンドの全体的なカットグレードは、GIA グレーディングレポートでは提供されていません。 しかしレポートには、そういったダイヤモンドのポリッシュとシンメトリーの評価、形状やカットスタイルに関する説明、寸法、プロポーションの簡略図(ガードルの厚さの記述を含む)が記載されます。

ダイヤモンドのカット – 美は見る人の目にあり

ダイヤモンドの全体的な美しさはそのカットの品質によりますが、多くの要因がカットグレードの判定に影響を与えるため、4Cの中でもカットは評価が最も困難かつ複雑な「C」と言えるでしょう。 GIA はカットグレーディングシステムの開発において、何万個もの本物のダイヤモンドを観察するとともに、最も素晴らしく見えるダイヤモンドについて人々から意見を集めました。

そのため、GIA のグレーディングシステムでは一般的に好まれるものが示され、それは必ずしもあなたの好みとは一致しないかもしれません。 視覚的な要素を数多く考慮しなくてはならないので、この点は重要です。 カットグレードが高いダイヤモンドを幾つかじっくりと観察すると、それぞれわずかに異なっているのがお分かりいただけるでしょう。 中にはカットグレードが低い方のダイヤモンドを好まれる方もいます。

最終的には美しさは見る人の目によって決まるので、グレーディングレポートは、ダイヤモンドをご自分の目でじっくりと見て気に入るかの判断と合わせて、使用すべきです。

GIA がラウンドブリリアントダイヤモンドのカットの品質をグレーディングする方法など、GIA ダイヤモンドグレーディングレポートに関する詳細は、ビデオ「ダイヤモンドの品質を表す 4C:GIA によるダイヤモンドのカットグレーディング」をご覧ください。

画像提供:1stdibs.com