婚約指輪についての神話は数多くあります。 より広く知られているものからご紹介します。ダイヤモンドは小さなものよりも大きなものの方が見栄えがよい。 ラウンドブリリアントが一番よい。 ダイヤモンドは壊れない。 正しい? 間違い? では調べてみましょう。

このブログでは婚約指輪に関する以下の迷信を検証します。

ダイヤモンドは大きければ大きいほどよい
ダイヤモンドはすべてきらめく
ラウンドブリリアントを買わなくてはいけない
ダイヤモンドは壊れない
インクルージョンはダイヤモンドが壊れる原因となる
ダイヤモンドは小売店ではない方がお得に購入できる
蛍光のあるダイヤモンドはよくない
ダイヤモンドの婚約指輪は給料の3ヶ月分であるべきだ

迷信1:ダイヤモンドは大きければ大きいほどよい

ダイヤモンドは小さなものより大きいものの方がフェースアップの見栄えが良いという、婚約指輪についてのよくある迷信があります。 しかしダイヤモンドが大きければ、輝きやファイアー、シンチレーションがより強いというわけではありません。 小さなダイヤモンドが魅惑的なきらめきを放ち、大きなダイヤモンドがぼんやり見えることもあります。 ダイヤモンドが光の下でどのように輝くかは、そのカットによるものであり、カラット重量によるものではないのです。 ですから、答えは間違いです。大きいことが必ずしもよいとは限りません。

 

迷信2:ダイヤモンドはすべてきらめく

繰り返しますが、ダイヤモンドのカット、つまりファセットと光の関わりがきらめきを生み出すのです。 石の加工には、プロポーション、シンメトリー、研磨により光の見事な反射を生じさせるように、正確な芸術的手腕と細工が必要とされます。 質の悪いカットのダイヤモンドは少ししか、あるいは全くきらめきがありません。

これらの3つのラウンドブリリアントが示すように、ダイヤモンドのカットはその外観を大きく左右する。

この3つのラウンドブリリアントが示すように、ダイヤモンドのカットはその外観を大きく左右する。 これらのダイヤモンドのカットグレードは左から右にプア、グッド、エクセレントと格付けされた。 写真:Kevin Schumacher/GIA

ラウンドブリリアントダイヤモンドのカットに関する客観的な評価に関しては、GIAダイヤモンドグレーディングレポートあるいは、GIAダイヤモンドドシエを参照してください。 GIAのカットグレードがグッドより高ければ、思ったとおりのきらめきが見られるでしょう。

汚れはきらめきの敵であることもお話しておきましょう。 汚れた鏡が美しく反射しないように、ダイヤモンドのファセットに皮脂、化粧水やその他の物質がついていると同じ状況になります。 ダイヤモンドを清潔に保つことがきらめきを持続する秘訣です。

このEカラーの0.61ctのラウンドブリリアントのきらめきは油分と汚れのために濁っている。

このEカラーの0.61ctのラウンドブリリアントのきらめきは油分と汚れのために濁っている。 写真撮影:Maha Tannous/GIA

クリーニングでいかにきらめきが変わるかがよくわかる。

クリーニングでいかにきらめきが変わるかがよくわかる。 同じダイヤモンドから油分が取り除かれると、キラキラときらめくようになった。 写真撮影:Maha Tannous/GIA

要約すると、きらめくダイヤモンドをお望みなら、優れたカットが施されているものを選ぶことです。そしてラウンドブリリアントの場合は、カットグレードがGIAダイヤモンドグレーディングレポートでグッド以上のものを探すことが大切です。 購入後は、清潔に保ちましょう。 こうすることで、婚約指輪は他人の目に止まり、賞賛されるでしょう。

 

迷信3:ラウンドブリリアントを買わなくてはいけない

婚約指輪として最も人気があるカットと形はラウンドブリリアントダイヤモンドです。 約半分の花嫁が指にしています。 そうである理由は、その美しさ、誇らしさ、そしてまばゆいばかりの輝き、ファイアー、シンチレーションがあるからです。

シンプルに魅惑的で、魅惑的なほどシンプルなこちらの1.37ctのカラーHのダイヤモンドのついた六爪リングなら婚約者の方の心を必ず射止めてくれるだろう。

シンプルに魅惑的で、魅惑的なほどシンプルなこちらの1.37ctのカラーHのダイヤモンドのついた六爪リングなら婚約者の方の心を必ず射止めてくれるだろう。

ではラウンドブリリアントを買わなくてはならないのでしょうか。残りの半分の花嫁たちはラウンドブリリアント以外の形のダイヤモンドのついた婚約指輪をつけていることを考えてみましょう。 そうしたファンシーシェイプにも考慮する価値があるほど美しいものがあるということです。 それにラウンドブリリアントよりもカラット単位の価格がお安いものもあります。 より人気の高いファンシーシェイプダイヤモンドには、プリンセスカット、マーキス、クッションカットやエメラルドカットなどがあります。 オーバルは今とても人気があり、うっとりするようなきらめきを放つものもあります。

プリンセスカットダイヤモンドはラウンドブリリアントの輝きに匹敵する。

プリンセスカットダイヤモンドはラウンドブリリアントの輝きに匹敵する。 この1.03ctの4つ爪にセットされた美しい指輪のように、正方形または長方形のプリンセスカットは一味違った趣がある。 提供:TrueFacet.com

この太陽のように輝く婚約指輪は1.10ctのマーキスイエローダイヤモンドとシャンクに2つのホワイトマーキスダイヤモンドが取り付けられ、メレー・ダイヤモンドが中央の石を囲み、ヘイロー効果で強調されている。

輪郭が彼女の口元に似ていることからポンパドール夫人の名前「マーキス」にの由来があると考えられているマーキスダイヤモンドは、非常に美しく、伝承も多い。 この太陽のように輝く婚約指輪は1.10ctのマーキスイエローダイヤモンドとシャンクに2つのホワイトマーキスダイヤモンドが取り付けられ、メレー・ダイヤモンドが中央の石を囲み、ヘイロー効果で強調されている。 提供:TrueFacet.com

クッションカットのダイヤモンドの歴史は1700年代まで遡るが、時はたっても美しさに曇りはない。

クッションカットのダイヤモンドの歴史は1700年代まで遡るが、時はたっても美しさに曇りはない。 7.82ctのクッションカットのセンターストーンが際立つこちらの婚約指輪の華やかさは一目瞭然である。 提供: 1stdibs.com

この2.71ctのダイヤモンドはエメラルドカットの美しさの象徴を示しており、中央のダイヤモンドが2つのテーパードバゲットダイヤモンドで強調されている。

こちらの2.71ctのダイヤモンドはエメラルドカットの美しさの象徴を示しており、中央のダイヤモンドが2つのテーパードバゲットダイヤモンドで強調されている。 提供:Blue Nile(ブルー・ナイル)

これは1.57ctのオーバルダイヤモンドがセンターストーンに置かれた三つ石婚約指輪で、愛を語り輝きを放っている。

これは1.57ctのオーバルダイヤモンドがセンターストーンに置かれた三つ石婚約指輪で、愛を語り輝きを放っている。 写真:GIA

 

迷信4:ダイヤモンドは壊れない

ダイヤモンドは地球に存在する宝石素材の中で最も硬く、ほぼ全ての酸に耐性があります。 高温に対する強さはほとんどの宝石を上回ります。 しかし、適切な方向に鋭い衝撃を加えることによりカット技師が意図的にダイヤモンドを劈開(分割)することができるのならば、場所によっては誤ってかなり強い衝撃を与えてしまった場合に同じことが起こる可能性があることを頭に入れておいてください。

ダイヤモンドにある劈開面は、これらの面と平行になった炭素原子どうしが面と面の間にある炭素原子どうしよりもかなり強固に結合することにより起こります。 劈開面は、ダイヤモンドの結晶の分子配列で最も脆弱な方向であり、常に結晶の三角面の一つと平行になっています。 もしダイヤモンドがこの面に沿って強くぶつかると、欠けやフラクチャーができる可能性があります。

欠けはガードルのエッジや、ペアーシェイプやマーキスの先のように、露出している箇所が何か硬いものに衝突した時によく起こります。  ダイヤモンドがあしらわれた宝石を並べて保管したり身につけることでも、欠けやひっかき傷その他の損傷が発生することもあります。 プリンセスカットのように先鋭な角のあるダイヤモンドのカットは特に脆く、欠けから保護するために角にV字形の爪留めがセットされることもよくあります。

こちらの1.05ctのダイヤモンドにはガードルから始まってキュレットまでの欠けがある。

ダイヤモンドはその硬度、つまり傷や摩耗への耐性が高いことで知られている。 しかしダイヤモンドの婚約指輪の迷信とは逆に、その硬度は結晶方向によってばらつきがあるため、絶対に損傷を受けないというわけではない。 こちらの1.05ctのダイヤモンドにはガードルから始まってキュレットまでの欠けがある。 写真:GIA

この画像はダイヤモンドの八面体の三角の面に平行した劈開面の例を示している。

こちらの画像はダイヤモンドの八面体の三角形面に平行な劈開面の例を示している。 画像はV. C. Venkatesh/S. Izman著、Precision Engineering(精密工学)、2007年、54ページからの編集

 

迷信5:インクルージョンはダイヤモンドが壊れる原因となる

ここで取り上げているダイヤモンド婚約指輪に関する迷信の中で、この迷信には真実である部分があります。  インクルーションは個々のダイヤモンドの持つクラリティの特徴のことです。 インクルージョン自体はダイヤモンドが壊れる原因にはなりません。 しかし劈開面上あるいはその付近や、ガードルやキュレットのように他の脆弱な部分にあれば、ダイヤモンドを欠けやすくする可能性もあります。

このダイヤモンドは、劈開面近辺あるいはガードルにあるインクルージョンにより生じたと思われる欠けのため、損傷している。

このダイヤモンドは、劈開面近辺あるいはガードルにあるインクルージョンにより生じたと思われる欠けのため、損傷している。 写真:GIA

 

迷信6:ダイヤモンドは小売店ではない方がお得に購入できる

この迷信は婚約指輪の迷信の中でも特に購入者による適正な注意や下調べが必要となるものです。 よりお得な価格で購入するには、「友人の友人」、オンラインオークション、あるいは卸商やディーラーから直接買う方がよいと思ってしまいがちです。 結局のところ、こういった販売者の方が従業員も少ないので、価格をつり上げる幅も低くすみ、そこでセーブできた分は購入者に回してもらえるだろうと考えがちです。 その考えが正しいかもしれません。 しかし婚約指輪の購入に関係するあらゆるコストを考慮すれば、比較してみてからでも損はありません。

ダイヤモンドを歴史のある実店舗で購入する場合も、あるいは別のルートで購入すると決めた場合でも、必ず基本的な購入者に対する保護規定があるかを確認してください。例えば、最低30日間の返金あるいは交換、品質保証、そして定評ある機関からのグレーディングレポートがついたダイヤモンドであるかどうかなどです。 このような基本的なサービスを提供できない販売者は、非常に低い価格を提示しているかもしれません。

歴史のある小売店で購入すると他にも利点があることがあります。 宝石商の持つ専門知識は、ダイヤモンドと正しいセッティングを選ぶ際に欠かせません。 また多くの小売店ではダイヤモンドと指輪をセットにしたパッケージを購入することで値引きをしてくれます。 また指輪を所有している間のクリーニング、修理、メンテナンス、そして保険や、将来より良いダイヤモンドへの買い替えを行った時の下取りプログラムなどをつけてくれる小売店も少なくありません。 最終的には、別のタイプの販売者に提示された低めの価格で得した金額も、小売店で受けられるパッケージ値引きや追加のサービスを考えれば、大きな差ではなくなるのです。

つまり、ダイヤモンドの購入に関して言えば、これまで以上に選択肢が多いということです。 大切なことは、他の大きな買い物をするときと同様、注意を払い、よく考えて購入することです。

 

迷信7:蛍光のあるダイヤモンドはよくない

こちらは婚約指輪に関する迷信の中でもより広く信じられているものですが、実のところはダイヤモンドの蛍光は良くも悪くもないのです。 蛍光はダイヤモンドにある特性の中でも自然に発生するものです。 ダイヤモンドの中には太陽や蛍光灯などに含まれる長波紫外線にさらされた時に青色(またはまれに他の色)の光を放つものがあり、これを好む人もいます。 蛍光のあるダイヤモンドを選ぶかどうかは、個人の好みによります。

蛍光があるのは一般的です。市場に出回るダイヤモンドの25%から35%は、ある程度の蛍光を示しており、GIAのグレーディングレポートには無し(None)、弱(Faint)、中(Medium)、強(Strong)、非常に強い(Very Strong)と記載されます。 蛍光は4C(カラー、クラリティ、カット、カラット重量)のような品質要因としては考えられていないことを述べておきます。 ダイヤモンドの蛍光の程度がグレーディングレポートに追加情報として記載されているのは、特定のダイヤモンドを識別するために役立つからです。

ダイヤモンドが長波紫外線にさらされた場合、青色が群を抜いて一般的な蛍光色である。

ダイヤモンドが長波紫外線にさらされた場合、青色が群を抜いて一般的な蛍光色である。 この合成写真のネックレスの半分とイヤリングの片方は、普通の照明条件(左)で撮られたもので、残りの半分と同じイヤリングは長波紫外線ランプ(右)に照らされた様子を示している。 著作権: GIAおよびHarold & Erica Van Pelt 提供:Harry Winston, Inc., New York(ハリー・ウィンストン、ニューヨーク)

蛍光がダイヤモンドのカラーグレードに影響を与えると聞いたことがあるかもしれません。 それは間違いです。 GIAは蛍光による影響を取り除くために設定された厳しく制御された照明条件においてダイヤモンドのGIAカラーグレードを決定します。 ですから決定されたカラーグレードに与える影響は全くありません。 しかしダイヤモンドを見る際の照明のタイプによっては、蛍光の強さが皆さんが感じるダイヤモンドの色の見た目に影響することはあるかもしれません。 例えば、明るい太陽光のもとでは、中度から強度の青い蛍光のあるダイヤモンドの方が無色に近く見えるかもしれません。 稀に、非常に強い蛍光のあるダイヤモンドが濁ったり油っぽく見える場合がありますが、このような効果が見られるのは蛍光のあるダイヤモンドの0.2%です。

GIAの研究で、平均的な観察者、つまり宝石を購入する一般の消費者を代表するような人には、青色の蛍光がダイヤモンドのフェースアップの外観に系統立って与える影響はないことがわかっています。 経験を積んだ観察者でも、一つ一つの石を見た場合に蛍光の効果が例外なく同じ意見になることはありませんでした。

 

迷信8:ダイヤモンドの婚約指輪は給料の3ヶ月分であるべきだ

婚約指輪の迷信の中でも古いものの一つで、こちらは1950年代に遡ります。 以前に否定されたのですが、重ねて正しておいて損はないでしょう。 実際のところ、ダイヤモンドの婚約指輪にいくら費やすべきかについての決まったルールはありません。 あなたが費やせる金額を決めるのはあなたであり、予算を決めて、それを断固変えないことです。 ダイヤモンドの品質に関する4Cなど、ダイヤモンドについて少し調べ、複数店舗を比較しておけば、予算内で一番品質がよいダイヤモンドを選ぶことができるでしょう。 最終的には、ダイヤモンドの究極の価値はその価格にではなく、それを渡すときに込める愛にあることを忘れないでください。

他に婚約指輪に関しての迷信を聞いたことがありますか? ぜひコメントをお寄せください。事実とそうでない部分をできるかぎり明確にご説明いたします。