婚約指輪のセッティングに正しい金属を選択することは、正しいダイヤモンドを選ぶことと同じくらい重要になります。金属は指輪のスタイルを決めるだけでなく、ダイヤモンドの色の見え方にも大きく影響します。今回は賢明な選択をしていただくための方法をご紹介します。
ゴールド、プラチナそしてシルバーは宝飾品によく使用される金属です。ゴールドとプラチナは、その魅力と加工性と耐久性により婚約指輪の優れた選択肢となります。多くの人々は婚約指輪のセッティングを選択する際、カラーとスタイルの好みから検討を始めることでしょう。暖かい色合いのイエローまたはローズゴールドの婚約指輪を好む方もいらっしゃいますし、クールでクラッシックな雰囲気のプラチナやホワイトゴールドなどのホワイトメタルの婚約指輪を選ぶ方もいらっしゃいます。しかし、金属の色が婚約指輪の最も重要な特徴であるセンターストーン(ほとんどの場合はダイヤモンド)に及ぼす影響を考える方はほとんどいません。
ダイヤモンドのカラーと反射の重要性
婚約指輪のセッティングの金属を選ぶ際には次の2点を参考にしてください。
- あなたのダイヤモンドのカラー。多くの人々は、宝石品質のダイヤモンドは無色だと考えていますが、本当に無色のダイヤモンドは実際にはごく稀です。宝飾品やダイヤモンドの婚約指輪に使われるほとんどのダイヤモンドは、無色に近いですがイエローやブラウンあるいはグレーのわずかな色みがあります。婚約指輪のセッティングの金属を選ぶ際には、あなたのダイヤモンドがGIA D-Zのカラースケールでどのグレードに分類されるのかを知っておく必要があります。
- ダイヤモンドの反射が非常に強いという事実。スタンダードなラウンドブリリアントダイヤモンドやその他の形のダイヤモンドにある多数のファセットは小さな鏡の役割を果たしており、宝石を支えているバンドやプロングの色など、周囲のものを反射します。
これを知ることで、婚約指輪の金属の色を利用してあなたのダイヤモンドの色を際立たせたり、見た目に一層の調和をもたらすことができます。
婚約指輪のデザインを、メインのダイヤモンドを引き立てるものにするのか、あるいはセッティングとセンターストーンの調和感を出すものにするかを決めてしまえば、選択肢は多数あります。宝石商はあなたにとって最良の情報源だということを忘れないでください。宝石商はダイヤモンドの色の微妙なニュアンスをよく理解しており、あなたが求める外観を得るために最良な金属の色を提案してくれるでしょう。また、ダイヤモンドの色の見え方に金属がどんな影響を与えるのかを知る一番良い方法は、ダイヤモンドと婚約指輪のセッティングの実物を見ることです。その前に、絶対に失敗しないアイデアをいくつかお教えしましょう。
カラーグレードがDからJのダイヤモンドに合わせる金属
D-Zカラースケールにあるダイヤモンドは他の条件がすべて同じである場合は、無色に近いほど価値が高くなります。GIAのカラースケールでグレードD-E-Fのダイヤモンドは、無色と考えられています。そのため、プラチナまたはホワイトゴールドといったホワイトメタルの婚約指輪のセッティングが美しさを強調させる最良の選択です。グレードGからJのダイヤモンドは、ほぼ無色の範囲にあり、ほとんど認識できないくらいのわずかなイエローの色みがあります。これらにもホワイトメタルは良い選択肢になるでしょう。他の色の金属を選択したり、ツートンのリングでコントラストを作り出したい場合は、ダイヤモンドを固定するプロングをホワイトゴールドまたはプラチナといったホワイトメタルにするべきです。イエローゴールドのプロングは、ダイヤモンドに黄色の色みを映してしまうので、無色または、ほぼ無色の石が異なるカラーグレードに見えてしまいます。
カラーグレードがMからZのダイヤモンドに合わせる金属
カラーグレードがM以下のダイヤモンドは、黄色がかった色合いが顕著に出ます。イエローゴールドのバンドはダイヤモンドの黄色を強調してくれます。ホワイトのバンドはダイヤモンドの色を無色に近づけてくれる場合があります。カラーグレードがKまたはLのダイヤモンドはその中間にあたります。そのため、婚約指輪のセッティングにどのような効果を求めるかによって、イエローゴールドまたはホワイトメタルのバンド、どちらでも使うことができます。
ファンシーカラーダイヤモンドに合わせる金属を選ぶには
D-Zの色の範囲外のダイヤモンドはファンシーカラーと言われます。天然の色合いのブルー、ブラウン、ピンク、イエロー、グリーンなどがあります。ファンシーカラーダイヤモンドは輝きやファイアーよりもむしろ色の強度で評価されます。その色の色相、色調、彩度により、GIAカラーダイヤモンドグレーディングシステムでは、カラーダイヤモンドのカラーグレードを次の様に評価します:「フェイント」、「ベリーライト」、「ライト」、「ファンシーライト」、「ファンシー」、「ファンシーインテンス」、「ファンシービビッド」、「ファンシーダーク」、「ファンシーディープ」。一般にファンシービビッドとファンシーディープは、最も高い価格がつけられます。
ブラウンダイヤモンドに合わせる金属
ブラウンダイヤモンドはかつては宝飾品には適さないと考えられていました。1980年代にマーケター達が「シャンパン」、「コニャック」、「チョコレート」など人々の興味をそそる様な商品名をつけたことで、ブラウンダイヤモンドは独自のニッチ市場を作り上げました。イエローダイヤモンドと同様に、ブラウンダイヤモンドはその色を際立たせるためにホワイトメタルと合わせるか、イエローゴールドやローズゴールドの婚約指輪にセットすることで色を引き立たせることもできます。プロングに使用するメタルも、コントラストを与えたり、その色を引き立てたりします。
イエローダイヤモンドに合わせる金属
イエローダイヤモンドは、1860年代後半に南アフリカの数カ所から今日ではファンシーイエローと言われるものが発見されるまでは、比較的珍しい存在でした。現在では世界中で産出されます。窒素が存在することでダイヤモンドに色が生じる原因となります。ホワイトメタルはイエローダイヤモンドの色を引き立てるでしょう。イエローメタルはダイヤモンドの色と調和します。
ピンクダイヤモンドに合わせる金属
ピンクダイヤモンドは非常に希少です。歴史的には、これらはブラジルの漂砂鉱床やインドとアフリカの鉱山で発見されています。1980年代後半以降、オーストラリアのアーガイル鉱山がピンクダイヤモンドの主要原産地となっていますが、そこでもピンクダイヤモンドが取れるのはごく稀になっています。アーガイル鉱山を所有する、Rio Tinto Ltd.,(リオ・ティント社)によると、「これまでアーガイル鉱山で産出されたダイヤモンド原石は、合計8億カラット以上になる」とのことです。ピンクダイヤモンドの原石の合計産出量は、総産出量の1%にも見たず、当然のことながら、ピンクダイヤモンドの価格は非常に高価です。ピンクダイヤモンドの色が非常に珍重されているため、イエローゴールドの婚約指輪にセットされたものはほとんどありません。ピンクダイヤモンドが主役で、バンドは主役の色を引き立たせるために使われます。
ブルーダイヤモンドに合わせる金属
ブルーダイヤモンドもまた非常に希少で高価なものです。インドは歴史的な原産地であり、45.52 ctのホープダイヤモンド、31.06 ctのWittelsbach-Graff(ヴィッテルスバッハ・グラフ)、その他の有名なブルーダイヤモンドがインドで採掘されたものだと考えられています。今日では、1903年に開山した南アフリカのプレミア鉱山がブルーダイヤモンドの主な原産地と考えられています。しかし、20世紀の終わり頃には、ブルーダイヤモンドはそこで採掘されるダイヤモンドの0.1%以下を占めるにとどまるようになってしまいました。ピンクダイヤモンドと同様、ブルーダイヤモンドのほとんどは、その色を際立たせるためにホワイトメタルの婚約指輪にセットされます。
美しい婚約指輪は、素晴らしい創作に加えて、多くの選択肢の成果です。