美しい婚約指輪を見ると、メレー(melee)ダイヤモンドと呼ばれる小さなダイヤモンドが付いていることがあります。これが中央のダイヤモンドにアクセントをつけ、指輪を際立たせています。 メレーダイヤモンドは、ダイヤモンドの婚約指輪に一層のきらめきを添える方法として人気があります。

メレーダイヤモンドについて理解したうえで購入するためには、何を知っておく必要があるでしょうか?

この記事の内容は次のとおりです。
メレーダイヤモンドとは
メレーダイヤモンドのカット方法
指輪で人気のメレーダイヤモンドのセッティング
メレーダイヤモンドと婚約指輪


メレーダイヤモンドとは

GIAでは、メレーをシングルカットまたはフルカット(定義は下を参照)の、重さ5分の1カラット(ct)未満の小粒ダイヤモンドと定義づけています。 ただし、メレーの実際のサイズ範囲は、国により、または取引のそれぞれの過程により異なります。 メレーダイヤモンドには0.001ct(1カラットの千分の一)の小さなものまであります。
メレーは通常、小さなラウンドのダイヤモンドにカットされ、センターストーンの周りやバンド上にセットされます。

数百個のメレーダイヤモンドがテーブルの上できらめいている。

数百個のメレーダイヤモンドがテーブルの上できらめいて、選別を待っている。 写真:GIA


メレーダイヤモンドのカット方法

メレーダイヤモンドは、最新のダイヤモンドカッティング設備のある工場で大量に生産されます。 最新の技術を駆使した機械は必要な労力を削減し、製品の質を向上させましたが、メレーのカッティングと選別はいまだに多くの人手を要する仕事です。 インドのスーラト市は、メレーを含むダイヤモンド製造の重要な拠点です。メレーはファセットカットが施され選別された後、100カラット以上のパーセルでジュエリー製造業者に販売されます。その後、ジュエリー製造業者があらゆる種類のジュエリーにセットします。

メレーの一般的なファセッティングスタイルには次のようなものがあります。

  • シングルカット: 丸いガードルの輪郭と、17面または18面(キューレットの有無による)のファセットを持つカッティングスタイルで、ファセットには、テーブル、クラウンファセット(8面)、パビリオンファセット(8面)、また非常にまれですが、キューレットが含まれます。
  • フルカット: 57面または58面のファセット(キューレットの有無による)を持つラウンドブリリアントカットで、ファセットにはクラウンファセット(32面)、パビリオンファセット(24面)、テーブル、およびキューレット(通常)が含まれます。
Alrosa(アルロサ)のロモノソフ鉱山にて、小粒のダイヤモンド原石を手作業で選別しているところ。

ロシア連邦アルハンゲリスク、Alrosa(アルロサ)のロモノソフ鉱山にて、小粒のダイヤモンド原石を手作業で選別しているところ。 写真: Russ Shor/GIA


指輪で人気のメレーダイヤモンドのセッティング

指輪はダイヤモンドを多く使うほど、きらめきが増します。 メレーダイヤモンドはその小さいサイズゆえに、大きめのダイヤモンドのセンターストーンに比較すると価格が低く、婚約指輪のデザインにきらめきを添えるためにふんだんに使用されることがよくあります。 また、腕時計の文字盤、イヤリング、ペンダントなど、きらめきや輝きをさらに添えたいと思うあらゆるジュエリーでまばゆいアクセントとなっていることにお気づきでしょう。

  • ヘイローセッティング: 小さなダイヤモンドがセンターストーンを囲むこの人気の高いセッティングで、メレーダイヤモンドがセッティングの構成要素となっています。 このスタイルは指輪にきらめきを添え、センターストーンへの注目を集めて、より大きく見せることができます。
メレーダイヤモンドのヘイローセッティングを特徴とする婚約指輪。

メレーダイヤモンドのヘイロー(光輪)が、この婚約指輪を一層まばゆいものにしている。
提供: Ziva

  • パヴェセッティング: 「敷き詰める」という意味のフランス語から「パヴェ」と呼ばれるこのセッティングは、ハチの巣状にかみ合わさった模様を生むためにメレーダイヤモンドのような小さな宝石がぎっしりとセットされる、ビーズセッティングのスタイルです。  劇的にきらめく外観を生み出すセッティングで、婚約指輪や他のジュエリーで複雑なデザインを作り出すのによく使用されるスタイルです。
パヴェセッティングでセットされた、3.35カラットのダイヤモンドを特徴とするクラスターリング。

3.35カラットのダイヤモンドがパヴェセッティングでセットされているこのクラスターリングでは、パヴェがデザインの中心的な要素。 写真:Robert Weldon/GIA

また、パヴェのテクニックによって、より求めやすい価格の婚約指輪の製作が可能となります。一般的に小粒ダイヤモンドは、同じ品質のより大きいダイヤモンドよりも価格が低いためです。 パヴェの婚約指輪は、予算の制約がある方にとっては良い選択肢となります。

メレーダイヤモンドとセンターストーンの婚約指輪。

メレーダイヤモンドはシンプルなデザインを精巧な美術品に変える。 提供: Laurence Bruyninckx – Antwerp


メレーダイヤモンドと婚約指輪

ダイヤモンドのセンターストーンのカラー、クラリティ、カット、カラット重量について選択決定しなければならないことはあっても、婚約指輪用のメレーを選ばなければならないということはまずないでしょう。 メレーダイヤモンドは、パーセルに詰めてジュエリー製造業者に販売する前にカラーとクラリティで選別します。ジュエリー製造業者はこれをダイヤモンドのセンターストーンと合わせます。

ダイヤモンドのセンターストーンは、そのコストを考慮すると、それ専用のダイヤモンド グレーディングレポートがどうしても必要です。信頼できる宝石商は、いずれもレポートを提供しています。 グレーディングレポートはダイヤモンドが天然のものであるという証明で、カラーやクラリティを改変させる原因となった処理が明らかになっている場合はそれを表示します。 ただし、メレーダイヤモンドのグレーディングレポートが提供されることは期待しないでください。 これにはいくつかの理由がありますが、最も決定的なのは経済的な理由です。メレーのグレーディングコストは、その価値に比して高すぎるためです。 メレーは、通常数百個のダイヤモンドが含まれている大きなパーセルで販売されるため、その各々についてグレーディングを行うことは現実的ではありません。

カラット重量とカラット総重量

メレーダイヤモンドを含むダイヤモンドの婚約指輪を購入する際、「カラット重量」と「カラット総重量」の違いを理解しておくことが重要です。ダイヤモンドの重量が価格決定の決め手となるためです。 ジュエリー業界で「tcw」と略されることが多いカラット総重量は、ダイヤモンドのみが使用されているジュエリーにおけるダイヤモンドをすべて合わせた重量を指すのに使われています。 「ct」と略されるカラット重量の記述は、センターストーンのような個別の石にのみ適用されます。 総重量(tcw)が2.50カラットとなる多数の小粒ダイヤモンドを使った指輪は、2.50ctの一粒ダイヤモンドを使った婚約指輪よりもかなり低価格となります。 これは大きなダイヤモンドは同じ品質の小さなダイヤモンドよりも希少性が高いためで、カラット重量あたりの価格も高くなります。

4.37カラットのメレーダイヤモンドを特徴とする、ピアジェの女性用腕時計Limelight(ライムライト)。

夜空で輝く星のように、この豪華なピアジェのトノー型女性用腕時計Limelight(ライムライト)の中で、約4.37カラットのメレーダイヤモンドがきらめく。 提供: 1stdibs.com

婚約指輪のきらめきが、あなたの愛を世界へ伝えます。 メレーダイヤモンドは、これに明るい輝きを添えることができます。 婚約指輪に一層のきらめきを添えたいならば、メレーダイヤモンド以外にも、こちらの婚約指輪のヒントを参考にしてください。