通常、複数でセットされるバゲットダイヤモンドは婚約指輪やジュエリーを上品に仕上げます。 アールデコの時代より人気があるこの素敵なダイヤモンドカットは、ショッピングの際に必見のお品です。 こちらではバゲットダイヤモンドの婚約指輪について知っておくべきことをご紹介いたします。

この記事の内容は次のとおりです。
バゲットダイヤモンド:定義
バゲットダイヤモンド:歴史的概要
バゲットダイヤモンド:注意すべきこと

バゲットダイヤモンド:定義

バゲットとは、両端がストレートまたはテーパードされた、通常長方形の小さいステップカットのダイヤモンドです。 スクエアに近いバゲットもあれば、長さ対幅の比率が5:1ほどのものや、それ以上に長いものもあります。 テーパードバゲットダイヤモンドは、両側が長く、斜めに内側に傾いています。 バゲットは婚約指輪のサイドストーンとして人気があります。

各辺が平行であるバゲットダイヤモンドのイラスト

このバゲットでは各辺が平行である。 図:Peter Johnston/GIA

斜めに内側に傾いているテーパードバゲットの長い側面を示すイラスト

テーパードバゲットの長い側は内側に向かって先細りになる。 図:Peter Johnston/GIA

チャネルセッティングされたテーパード バゲットダイヤモンドのイヤリング

チャネルセッティングされたテーパード バゲットがこのイヤリングで目を見張る美しさを引き立てる。 写真:Robert Weldon/GIA

エメラルドカットのダイヤモンドも、長方形または四角のステップカットが施されます。 ただし、バゲットとは異なり、隅が四角でなく斜めにカットされます。

角が斜めであるエメラルドカットダイヤモンド

エメラルドカットダイヤモンドは隅が斜めであるが、 バゲットダイヤモンドでは斜めでない。 図:Peter Johnston/GIA

バレリーナセッティングと呼ばれるスタイルでは、バゲットがセンターストーンの周りに散りばめられ、バレリーナのチュチュのようなスカートを作り出します。 センターストーンのガードルからスカートがふわふわと揺れているように見せるためにテーパードバゲットが最もよく使われますが、他の形のダイヤモンドが使われることもあります。 バレリーナセッティングでは、通常、バゲットはチャネルセッティングされますが、プロングセッティングされることもあります。

18Kイエローゴールドにルビーがセンターストーンとして石留めされたカクテルリング。「バレリーナセッティング」を生み出すテーパードバゲットを特徴とする。

プロングセッティングのテーパード バゲットが、この「バレリーナセッティング」を作り出すために使用され、ルビーを囲んでいる。 提供:The RealReal(ザ・リアルリアル)

最新の素敵なカットはブリリアントバゲットです。 これは、ブリリアントスタイルのファセット(三角形とカイトシェイプ)がパビリオンにあり、 ステップカットのファセットがクラウンにある、ミックス カットです。 このスタイルの利点は、ダイヤモンドの婚約指輪に一層のきらめきを添えることです。

 ブリリアントファセットのあるテーパード バゲットダイヤモンドおよびそのイラスト

上の画像は、ブリリアントスタイルのファセットがパビリオンに、そしてステップカットのファセットがクラウンにあるテーパード バゲットダイヤモンドである。 下の画像は、クラウンとパビリオンのファセットが通常位置する場所を示している。 写真とイラスト:Al Gilbertson/GIA

2.30カラットのラウンドブリリアントがセンターストーンとしてセットされた、テーパード バゲットダイヤモンドの婚約指輪

パビリオンにブリリアントファセットが施されたバゲットが、2.30カラットのラウンドブリリアントのセンターストーンの魅力をさらに引き立てる。 提供:Blue Nile(ブルー・ナイル)

バゲットダイヤモンドは通常複数で販売されるため、購入する際には重量よりも寸法が重要となります。 例えば、センターストーンの両側に添えるために2つ購入する場合、あなたまたは宝石商は、同じカラット重量のものではなく同じ寸法の2つの石を求めるはずです。

バゲットダイヤモンド:歴史的概要

これらの小さいステップカットのダイヤモンドに対する名称「バゲット」の由来に関しては、議論の余地があります。 フランス語の翻訳では竿または棒ですが、Randle Cotgraveの1673年出版『French and English Dictionary(仏英辞書)』によると「小さい宝石」という意味もあります。バゲットは、当時「宝石」という意味を持ち、現在は「指輪」という意味のフランス語”bague”の呼称です。

現在バゲットダイヤモンドと呼ばれている長方形のステップカットのダイヤモンドは、早くも16世紀の半ばから知られていた細長いテーブルカット、ホグバックから進化したものであると信じられています。 当時はモノグラムや宝石を散りばめた文字(例えば、所有者のイニシャルなど)を作るために使用されていました。 カルティェは、1912年にバゲットのカットスタイルを再び紹介し、アールデコの時代のジュエリーデザイナーは、その後数十年に渡りこのすっきりとした線と幾何学的な形状を好みました。 現在知られているような、人気のあるサイドストーンという意味を持つ英語「バゲット」は、20世紀に初めて使われるようになりました。 形がよく似ている長くて細いフランスパンにちなんでこのダイヤモンドカットの名称が付けられたと信じる方もいます。

6つのバゲットダイヤモンドと18のラウンドブリリアントで飾られた、1.37カラットのエメラルドカットを特徴とするアールデコ調の婚約指輪

このアールデコ調の指輪では、6つのバゲットと18のラウンドブリリアントが1.37カラットのエメラルドカットのダイヤモンドの周りにセットされている(およそ1930年代)。 幾何学的な形がこの時代の典型的な特徴となっている。 提供: 1stdibs.com

0.85カラットの三角形のバゲットと三角形のダイヤモンドとトリリアントカットの合成ルビーが飾られた、2.40カラットのアールデコ調の婚約指輪

もうひとつのアールデコ調の貴重な作品である、この婚約指輪は2.40カラットのエメラルドカットのセンターストーン、0.85カラットのバゲットおよび三角形のダイヤモンド、0.96カラットのトリリアントカットの合成ルビーを特徴としている。 提供:The RealReal(ザ・リアルリアル)

バゲットダイヤモンドは、現代的なジュエリーや婚約指輪でよく使用されます。 このため、アールデコ調の婚約指輪をモダンにしたい場合、バゲットを使ってみるのをお勧めします。

0.70カラットのバゲットカットダイヤモンドが両脇についた、1.79カラットのエメラルドカットの婚約指輪

合計およそ0.70カラットのバゲットダイヤモンドが生み出す、すっきりとした美しさが1.79カラットのセンターストーンの尊厳な外観を引き立てる。 現代的な作品であるこのリングでは、アールデコの時代が生き生きとしているのが見られる。 提供: 1stdibs.com

バゲットダイヤモンド:注意すべきこと

美しいバゲットダイヤモンドを選ぶために役立つヒント:

2つのバゲットダイヤモンドが両脇についた、8.03カラットのDカラーのマーキスダイヤモンド

インドの有名なゴルコンダ鉱山で産出された8.03カラットのDカラーのマーキスダイヤモンドは、このリングで注目に値する宝石である。 両脇にセットされている2つのバゲットダイヤモンドがこのマーキスダイヤモンドの魅力を引き立てる。カラーがしっくりと合い、このダイヤモンドの美しさが損なわれることがない。 提供: 1stdibs.com

  • リングのバゲットのカラーおよびクラリティはすべて同じである必要があり、センターダイヤモンドと一致する必要があります。 バゲットダイヤモンドのカラーやクラリティがお互いにまたはセンターストーンと非常に異なると、調和がとれず、魅力がなくなります。
  • ステップカットでは、バゲットのクラウンファセットがテーブルエッジに平行して段状に配置されています。 ファセットのシンメトリーがわずかにずれている場合、これは肉眼でも通常見ることができ、石の魅力が減少します。 すべてのファセットが平行および対称的であるか必ず確認しましょう。
  • 内包物は、通常ラウンドブリリアントよりもバゲットダイヤモンドでよりはっきりと見えるため、内包物がないものを選びましょう。
  • バゲットやテーパードバゲットはセットで購入されます。 リングのショルダーにセットするシンプルなアクセントストーンとしては、それぞれのショルダーに1つ、2つ、または3つのバゲットまたはテーパードバゲットを使うのをお勧めします。 チャネルにセットさせるために長さと幅(およびテーパー)が同じである必要があります。 ストレートなバゲットでは、完全に一致させるために長さと幅を0.1ミリメートル(mm)の単位まで指定する必要があります。 テーパード バゲットでは、広い方と細い方の端の幅を0.1mmの単位まで指定しなくてはいけません。
    長いカーブを作るためには、お好みのカーブの幅の範囲によって、長さの範囲がXからYまでで必要な数のテーパード バゲットを購入します。 テーパーの傾斜が急であるほどカーブが鋭くなるため、カーブに合わせてテーパーがわずかまたは強いダイヤモンドを探しましょう。
  • 他のほとんどのダイヤモンドと同様に、バゲットは外観を向上させるために処理が施されることがあります。 処理としては、カラーを向上させるための高圧高温(HPHT)処理、または目に見えるクラリティを向上させるためのフラクチャー充填が挙げられます。 また、合成ダイヤモンドのバゲットも市場で入手可能となっています。 小売店はお客様が購入するダイヤモンドが天然、処理済み、または合成石であるかを開示することを法律で義務付けられています。
2つのテーパードバゲットダイヤモンドが両脇についた、2.01カラットのEカラーのエメラルドカットダイヤモンド

合計およそ0.35カラットの2つのテーパードバゲットが、2.01カラットのEカラー、SI1のエメラルドカットダイヤモンドの両脇に飾られている。 バゲットのカラーまたはクラリティが一致しない場合、このリングの気品は損なわれてしまうだろう。 提供: 1stdibs.com

バゲットダイヤモンドは、どこにセットされていても控えめな優雅さを生み出します。 しかし、考慮するべき小さいダイヤモンドは他にもあります。特に、婚約指輪を飾り立ててきらめきを与えたい場合は、 メレーダイヤモンドがおすすめです。この小さなダイヤモンドがいかに大きなインパクトを与えるか学んでみましょう。