トリプルX(エックス)ダイヤモンドとは、GIAのグレーディング レポートでカット、ポリッシュ、シンメトリーがエクセレントとれている石の取引用語です。GIAではこの用語は使われていませんが、多くの宝石商が使用しています。トリプルXの評価は重要でしょうか。また、トリプルXダイヤモンドは費用を余分にかけてでも購入すべきでしょうか。

このブログの内容は次のとおりです。
トリプルXダイヤモンドとは?
エクセレント カットとは?
エクセレント シンメトリーとは?
エクセレント ポリッシュとは?
トリプルXダイヤモンドに限定して購入したほうが良いですか?
トリプルXダイヤモンドは希少な石ですか?
トリプルXダイヤモンドを避けることで購入費用の節約になりますか?

トリプルXダイヤモンドとは?

トリプルX(エックス)ダイヤモンドとは、GIAによるグレーディングでエクセレント カット、エクセレント シンメトリー、エクセレント ポリッシュを持つダイヤモンドであるとされた、ラウンド ブリリアント ダイヤモンドの取引用語です。Xはエクセレントの略で、トリプルXはトリプル エクセレントを意味します。

ダイヤモンドのカット、シンメトリーおよびポリッシュのグレードは、ダイヤモンドの原石を研磨済みの石にするクラフトマンシップの質を表します。この3つはすべてダイヤモンドと光の相互作用に影響を及ぼし、GIAダイヤモンド グレーディング レポートではエクセレント、ベリー グッド、グッド、フェア、プアの中から記載されます。

最高のクラフトマンシップによるダイヤモンドを求めてトリプル エクセレント ダイヤモンドを探すダイヤモンドのバイヤーは大勢います。最高のクラフトマンシップが注がれたダイヤモンドであれば、魅力的なパターンを保ちつつ最大限の光とファイアを放ちます。

エクセレント カットとは?

0.73カラットのこのダイヤモンドは、エクセレント カット、Jカラー、クラリティVS1の評価を受けている。エクセレント カットでダイヤモンドのカラーを向上させることができる。写真:Kevin Schumacher/GIA。

カットはダイヤモンドで最も重要な要素です。これがダイヤモンドのプロポーション、つまり深さとファセットの角度を決定し、ダイヤモンド内で光が跳ね返る反応に影響を与えます。エクセレントというカット グレードは、ダイヤモンドが強い輝き、きらめきとファイアを放ち、その一方で明るい部分と暗い部分の均一なパターン(シンチレーション)をもつようなパラメータの範囲内でカットされていることを示しています。カッティングの質の低いダイヤモンドには明暗の大きなパッチが見られることが多く、それによって光沢に欠ける、面白みのない石に見えてしまいます。

このダイヤモンドのトリオを見れば、カットがなぜ重要かがよく分かる。これらのダイヤモンドのカット グレードは、エクセレント、グッド、プア(左から右)となっている。写真:Kevin Schumacher/GIA

エクセレント シンメトリーとは?

この図はラウンド ブリリアント カットのダイヤモンドのファセットと、その配置について示している。イラスト:Peter Johnston/GIA。

シンメトリーとは、ダイヤモンドの形状の正確性のことです。ファセットがどの程度きちんと配置されているか、また、同じ種類のファセットのサイズ、形状、プロポーションがどの程度均等かを表しています。エクセレント シンメトリーを持つダイヤモンドでは、すべてのファセットがガードル(ダイヤモンドの最も幅広い部分)に接しています。クラウン(ダイヤモンド上部)のカイト形のファセットの先端は、パビリオン(ダイヤモンド下部)のくさび形ファセットの先端と位置が揃っていなければなりません。上部の大きな八角形のテーブル ファセットは中心に配置され、下部のパビリオン ファセットはすべて、ダイヤモンドの先端で完全な点で交わります。エクセレント シンメトリーはダイヤモンドの光の反射を高め、より調和の取れた外観を生み出します。

エクセレント ポリッシュとは?

ポリッシュはダイヤモンドのフィニッシュの質であり、ダイヤモンドの表面がどの程度滑らかに研磨されているかを表します。エクセレント ポリッシュのダイヤモンドには、10倍の拡大でも研磨による欠陥が見られません。ピットやポリッシュ ラインなどの表面の小さな欠陥は、研磨のプロセス中に研磨用ホイールで生じることが多く、通常再研磨で取り除くことができます。大抵の場合、裸眼では確認することができませんが、表面に欠陥の多い石では輝きやきらめきが鈍ります。

ダイヤモンドのファセットを鏡だと考えてみてください。表面が滑らかであればあるほど、反射はより完璧に近づきます。ダイヤモンドは、こうした鏡(ファセット)を通して観察者の周囲からの光を集めます。プロポーションやシンメトリーが最適なダイヤモンドの場合、鏡はこうした光を、輝き、ファイア、シンチレーションのまばゆいゆらめきとして反射します。








トリプルXダイヤモンドに限定して購入したほうが良いですか?

質の高いダイヤモンドが必ずしもトリプルXであるとは限りません。シンメトリーとポリッシュは、ともにダイヤモンドの全体的なカット グレードに影響しますが、ダイヤモンドのカットがエクセレントのグレーディングを得るのに、必ずしもこれらがエクセレントと評価される必要はありません。ベリー グッドのシンメトリーまたはベリー グッドのポリッシュでエクセレントのカット グレードが得られる場合もあります。シンメトリーとポリッシュがエクセレントのダイヤモンドと、これらがベリー グッドのダイヤモンドとでは、その違いは拡大しなければ分からないためです。

さらに、トリプルXのカットのダイヤモンドでも、目に見えるインクルージョンまたは非常に強い蛍光性があると鈍い外観になります。カット、ポリッシュ、シンメトリーのグレードは、他の品質要素との関連で考慮する必要があります。

トリプルXダイヤモンドではなくとも、この指輪は美しい。2.03カラットのセンター ダイヤモンドのカットはエクセレント、ポリッシュはベリー グッド、シンメトリーはベリー グッドと評価されている。Gカラー、VS2のクラリティを持つ。提供:1stdibs.com

トリプルXダイヤモンドは希少な石ですか?

技術の進歩と消費者の需要により、トリプルXのダイヤモンドは入手しやすくなっています。ダイヤモンド製造業者は、GIAが定めたカット基準に沿って経常的にダイヤモンドをカットしています。

GIAが2005年にラウンド ブリリアント ダイヤモンドのカット グレードを開発した時、魅力的とされるダイヤモンドのシンチレーションのパターンに関する広範な研究が行われ、こうしたパターンを生むダイヤモンドのプロポーションとカッティングのパラメータが、文書化されました。こうしたカッティングのパラメータはその後、カッティング センターに提供され、ダイヤモンドのカッティングに使用されました。それ以来、これらのプロポーションとパラメータは基準となり、業界で普及しました。多くの企業が、ダイヤモンドを可能な限り最高のプロポーションで自動的にカットするための機械を備えています。そのため、トリプルXダイヤモンドはますます一般的になりました。

高品質で、見事に仕上げられたダイヤモンドは息をのむほど美しい。この51.71カラットのラウンド ブリリアント カットのダイヤモンドはGIAによってグレーディングが行われ、Dフローレスで、カット、ポリッシュ、シンメトリーはすべてエクセレントと評価された。提供:Sotheby’s(サザビーズ)

トリプルXダイヤモンドを避けることで購入費用の節約になりますか?

エクセレント カット グレード、ベリー グッドのポリッシュ、ベリー グッドのシンメトリーのダイヤモンドは、これ以外の要素においてすべて同じであるならば、トリプルXダイヤモンドよりも価格が低くなります。そのようなダイヤモンドとトリプルXダイヤモンドとの視覚的な違いは、裸眼ではほとんど見分けることができません。ですが、ダイヤモンドにかける費用の節減を真剣に考えるバイヤーは、カラーやクラリティの評価またはカラット重量の値が低いダイヤモンドか、蛍光性が弱い(faint)または中程度(medium)のダイヤモンドを選択することも検討すべきです。こうした節約の結果、必ずしもダイヤモンドの視覚的な効果を失うことなく、より大幅な費用の削減が可能となります。ダイヤモンド購入費用を節約するため、4Cの優先順位について学びましょう

結局のところ、ダイヤモンドの品質は、すべての要素を考慮に入れて全体的に見なければなりません。トリプルXの判定は、ダイヤモンドのカラーとクラリティが良い場合にのみ意味を持ちます。トリプルXダイヤモンドは、カット、ポリッシュ、シンメトリーのグレードがそれより低いダイヤモンドよりもやや高価になりますが、目利きのバイヤーにとっては価格の差もそれだけの価値をもつ場合があります。
トリプルXダイヤモンドの判定はつまり、ダイヤモンドが慎重かつ巧みに作られたものであることを示します。

GIAのカット、ポリッシュ、シンメトリーのグレーディング方法およびGIAダイヤモンド グレーディング レポートでのこれらの記載方法の詳細を学びましょう。