ダイヤモンドの処理について
カラーのエンハンスメント
このような処理が施されたダイヤモンドはあまり市場では見かけられませんが、GIAはグレーディングを行うすべてのダイヤモンドについてその有無を検査します。
コーティングとは、超薄層の化学薬品またはプラスチックでダイヤモンドの望ましくない色を覆い、カラーを改変する処理のことです。また、ダイヤモンド類似石の表面に合成ダイヤモンドの薄い膜を被せ、本物のダイヤモンドの特徴をある程度もたせるという方法もあります。
HPHTとは高圧高温のことで、これを用いた処理は一部のダイヤモンドのカラーを無色、ピンク、ブルー、グリーン、イエローがかったグリーン、イエローなどに改変するための効果的な手法となっています。設備の整ったグレーディングラボ以外では、このような処理を検出することは事実上不可能です。
クラリティのエンハンスメント
ダイヤモンドのクラリティを改善するための方法には、主としてレーザードリリングとフラクチャー充填の二つがあります。
レーザードリリングは通常、小さくて色の濃いインクルージョンを除去するために用いられます。レーザーでダイヤモンド内部に小さな穴を開け、インクルージョンを焼灼するか、インクルージョンまで細い穴を通しそこに漂白剤を流し込み、その外観を改善します。
フラクチャー充填はダイヤモンド内の「フェザー」と呼ばれる白いフラクチャーを隠すための処理であり、ガラス状の物質をフラクチャー内に注入し、より見えにくくすることによって見た目のクラリティを改善します。ただし、充填物は通常のクリーニングや修理中に損傷または除去されることがあるため、この技法については賛否両論の意見があります。精巧なフラクチャー充填は非常に微細なため、その識別には熟練したダイヤモンドグレーダーによる検査が必要となります。
あなたのダイヤモンドに処理が施されているかどうかを知るために、GIAのダイヤモンドグレーディングレポートがどのように役立つのか?
GIAは、コーティングやフラクチャー充填のような一時的または不安定とされる処理が施されたダイヤモンドについては、一切グレーディングレポートを発行しません。
GIAは、レーザードリリングまたはHPHT処理の施されたダイヤモンドについてはレポートを発行しますが、その場合、これらの処理の存在がレポートにはっきりと明記されます。さらなる予防策として、HPHT処理の施されたダイヤモンドのガードルにはその旨を示すレーザー刻印が施されます。