イエロー ダイヤモンドがお好きなのはあなただけではありません。ダイヤモンド通は、この素晴らしい宝石に数百万ドルでも費やします。

最上のイエロー ダイヤモンドの価格は、驚くほどのレベルに達しています。2010年11月にカラットあたり155,232ドル(約1,300万円)で販売された、12.16カラットのファンシー ビビッド イエロー。2011年11月に2,654,802.70ドル(約2.1億円、カラットあたり71,871ドル/約560万円)で販売された12.16カラットのファンシー ビビッド イエロー。そして27.42カラットのファンシー インテンス イエローは、2011年12月にカラットあたり76,470ドル(約590万円)で販売されました。

Kahn(カーン)カナリー イエロー ダイヤモンド

“Kahn”(カーン)カナリー ダイヤモンド 4.25カラットのファンシー イエロー ダイヤモンドの原石。

イエロー ダイヤモンドは、1860年代後半に南アフリカで発見されるまではめったに見られない石でした。実際、非常に希少であったため、Hope Diamond(ホープ ダイヤモンド)を発見した有名な宝石商のジャン バティスト タヴェルニエ(1605-1689)は137.27カラットのイエロー ダイヤモンドを見た時に、これは報告に値すると考えました。彼はこの石を「フロレンティン」、「オーストリアのイエロー」、「トスカーナ大公」など様々な名称で呼びました。

イエロー ダイヤモンドは、DからZのカラー グレーディング スケール上のカラーレスからライト イエローのダイヤモンドほどよく見られる石ではありませんが、ブルー、ピンクやレッド ダイヤモンドよりはかなり一般的です。

イエロー ダイヤモンドのカラー チャート

暖色の色相のダイヤモンドを示したこのチャートからもわかるように、イエロー ダイヤモンドは、色調や彩度によって見え方が変わることがある。

イエロー ダイヤモンドは、DからZ(カラーレスからライト イエロー)の範囲外である場合はカラー ダイヤモンドとみなされ、「ファンシー」とグレーディングされます。ファンシー グレードとは、イエロー ダイヤモンドがZのマスターストーンよりも濃い色でなければならないことを意味します。GIAカラー ダイヤモンド グレーディング システムでは、イエロー ダイヤモンドに6つのカラー グレードのうち1つを適用します。これらはファンシー ライト、ファンシー、ファンシー ダーク、ファンシー ディープ、ファンシー インテンス、ファンシー ビビッドです。

ダイヤモンドが黄色く見えるのは、窒素が含まれているためです。黄色の強度は、窒素の量によります。これに対して、カラーレスのダイヤモンドには窒素がほとんど、あるいはまったく含まれていないため、はっきりとした色がみられません。

イエロー ダイヤモンドは、多くの場合ラディアント カットなどのファンシー シェイプにカットされます。カッターがこうしたカットを施すのは、カットがダイヤモンドを上から見たときの色の見た目に顕著な影響を与えることがあるためです。ダイヤモンドをフェイス アップで見たときの色の強度を最大にするため、カッターがダイヤモンドをカットし直すことさえあります。

提供:Scarselli家

この6カラットを超えるサイズの ラウンド ブリリアント カットのダイヤモンド(左)は、DからZのスケールでW-Xとグレードされた。これはライト イエローの範囲である。4.61カラットのラディアント カット(右)にカットし直されると、ファンシー イエローとグレードされた。提供:Scarselli家

ほとんどのイエロー ダイヤモンドにおいて、台座にセットしたときに明らかに色の濃さや強さが増して見えることがあります。 ゴールドのセッティングはイエローの色をより濃く見せ、白色金属のセッティングならば色が薄く見えます。台座にセットされたダイヤモンドを購入する場合、石の本来の色を見ているのではないかもしれないため、このことを覚えておいてください。

提供:Scarselli家

指輪に使用する金属の種類は、ダイヤモンドの色の見え方に影響を与えることがある。提供:Scarselli家

ダイヤモンドは、HPHT(高温高圧)、照射、アニーリング、コーティングなどの様々な方法を用い、処理を施して色を改変することができます。HPHTでは、茶色がかったダイヤモンドをイエロー、グリーニッシュ イエロー、あるいはグリーンに変えることができます。また、照射により、ブルー、グリーン、イエロー、ブラウン、ブラックなどを生じさせることができます。

アニーリングは制御された状態で加熱と冷却を行う方法ですが、アニーリングのみで、または照射やHPHTと併せて使用することができます。照射後に行うと、ブラウン、オレンジ、イエローを生成できます。HPHTおよび照射後のアニーリングでは、ピンク、レッドまたはパープルを生成できると報告されています。照射および/またはアニーリングが施されたダイヤモンドは熱に弱く、ジュエリーの修理中に変色することもあり得ます。

コーティングは研磨後のダイヤモンドの表面に施すことができ、イエロー、ピンク、オレンジ、ブルー、バイオレットなどの様々な色を生成します。熱や化学薬品との接触で、コーティングにスクラッチや損傷が生じることがあります。お手持ちのダイヤモンドにコーティング処理が施されている場合、修理や研磨の前にジュエラーに伝えることが重要です。

(C) GIAおよびRobert Weldon

この4つのイエロー ダイヤモンドのマスターストーンは、それぞれのグレード範囲のうち、最もよく見られる彩度の低いほうの境界を表している。左から右:ファンシー ライト、ファンシー、ファンシー インテンス、ファンシー ビビッド。(C) GIAおよびRobert Weldon

ダイヤモンドのカラー グレードと、天然か処理済みかの違いが価格に大きく影響することがあります。GIAカラー ダイヤモンド グレーディング レポート、またはGIAカラー ダイヤモンド鑑別および色の起源レポートには、ダイヤモンドのカラー グレードと天然か処理済みかが記載されているため、購入の意思決定をスマートに行うことができます。

© GIAおよびHarold & Erica Van Pelt

ブレスレットおよび指輪に使用されている4.13カラットのオーバル カットと6.20カラットのエメラルド カット。提供:Harry Winston Inc.(ハリー・ウィンストン);イヤリングに使用されている8.70カラット(総重量)のStarBurst(スターバースト)カット。提供:Jonathan Doppelt Inc.;イエロー グラデーションのエタニティ バンド。提供:N. Smid;セットされていないダイヤモンド2石と結晶1つ。提供:Scarselli家。© GIAおよびHarold & Erica Van Pelt

ファンシー カラーのイエロー ダイヤモンドは、他のカラー ダイヤモンドに比べると豊富ですが、ダイヤモンド全体の生産量から見れば一部にすぎません。その色の美しさや深さは、ジュエラーに幅広い可能性を与えてくれます。

メイン画像は10.12カラットの ファンシー ビビッド イエロー ダイヤモンド。提供:Scarselli家