高品質のダイヤモンドの購入は、4つではなく3つのCから始まります。驚かれましたか?カット、クラリティ、カラーはすべてダイヤモンドの品質の決め手となりますが、カラット重量はそうではありません。つまり、サイズは品質に影響しないということです。3C、蛍光性、形状に基づいて素晴らしいダイヤモンドを購入する方法を学びましょう。

このブログで扱う内容は次のとおりです:
ダイヤモンドの品質に影響する要素
ダイヤモンドの形状の質とは
ダイヤモンドのカットの質とは
ダイヤモンドのカラーの質とは
ダイヤモンドのクラリティの質とは
ダイヤモンドの蛍光性とは

ダイヤモンドの品質に影響する要素

ダイヤモンドの美しさの源泉は生まれと仕立ての両方です。色やインクルージョンが様々に異なるダイヤモンド原石は、自然が生み出します。4C (カット、カラー、クラリティ、カラット重量)のどれを優先すべきかを決めて原石をカットするのは人間です。クラリティの高い石にするために、カッターはインクルージョンの大部分を切り取るべきでしょうか?あるいは、ダイヤモンドのサイズをなるべくく維持するべきでしょうか?このようにダイヤモンドの品質は、素材と、カッターや研磨職人がダイヤモンドをどのように扱うかの両方にかかっています。4Cのうち、カット、カラー、クラリティだけがダイヤモンドの品質を決めます。カラット重量は品質には影響しません。小粒のダイヤモンドでも、サイズのずっと大きいダイヤモンドと同様に美しく、丁寧に仕上げることが可能だからです。そして4Cのうち特にカットだけが、加工されていない天然のダイヤモンドにつき、人間が完全にコントロールできる要素です。カットはクラフトマンシップの質で決まるからです。

ラウンド ブリリアント石とダイヤモンド八面体
ダイヤモンドの八面体の隣に置かれたラウンド ブリリアント ダイヤモンド。写真:Robert Weldon/ GIA。提供(結晶):Thomas M. Schneider

ダイヤモンドの形状の質とは

ラウンド ブリリアント ダイヤモンドの形状の質を評価するのは簡単です。ラウンド ブリリアント ダイヤモンドは、ラウンド、つまり円形でなくてはなりません。ラウンド ブリリアント ダイヤモンドのほとんど、特にExcellent(エクセレント)またはVery Good(ベリー グッド)のカット グレードを得ているものは非常にきれいな円形か、少なくとも肉眼でばらつきが見分けられない程度に丸い形状をしています。

ファンシー カット ダイヤモンドとなると話が少し複雑になります。これらはGIAのカット グレードによる評価は受けません。形やカッティング スタイルが非常に幅広く、それぞれが独自の長さと幅の比率や基準を持つためです。個人の好みも大きく影響します。ファンシー シェイプで注目すべき点は4つあります:

ファンシー シェイプ ダイヤモンド
ラウンド ブリリアント ダイヤモンドとファンシー シェイプ。写真:GIA
  1. 長さと幅の比率:長さと幅の比率とはファンシー シェイプの長さと幅の関係性のことで、幅を1で表します。ほとんどの人が、ある一定の比率を他の比率よりも魅力的に感じるようです。例えば、エメラルド カット、レクタンギュラー クッション カット、ペア シェイプでは、最も人気があるのは長さと幅の比率が1.50:1~1.75:1のものです。長すぎたり、細すぎたりする宝石は壊れやすいことからも、長さと幅の比率を考慮に入れることは重要です。
  2. ラインのシンメトリー: ハートやペア シェイプの場合、中央で線を描いた時にダイヤモンドの輪郭が線の両側で同じでなければなりません。オーバル、スクエア、レクタンギュラー カットとマーキスでは、ダイヤモンドの輪郭は縦横ともにすべての辺/側が同一でなければなりません。シンメトリーはダイヤモンドをくっきりと整った形に見せ、ブリリアンスを最大限に引き出すのに貢献しています。ファンシー カット ダイヤモンドのGIAグレーディング レポートに、カット グレードは含まれていませんが、石のシンメトリーとポリッシュのグレードは記載されています。
  3. 滑らかなカーブ: ハート、ペア、オーバルなどのカーブを持つシェイプは、完全な、丸い「ローブ」または「ショルダー」がなければなりません。カーブは、ゴツゴツした平たんな箇所を持たず、滑らかな流れでなくてはなりません。
  4. くっきりとした形状: どの形のダイヤモンドなのかが明確でなければなりません。例えばハートの場合、明確なV字型のくぼみと反対側のくっきりとした尖端があるべきで、平たんなペア シェイプに見えてはいけません。ダイヤモンドの形状の魅力は比率によって決まることがあります。長さと幅の比率が低すぎるオーバルは、不均等なラウンドに見えるかも知れません。
マーキス ダイヤモンド
GIAのリサーチによれば、マーキス ダイヤモンドの平均的なプロポーションとしては2.0が理想とされている。写真:Kate Waterman/ GIA
ハート シェイプのカラー ダイヤモンド
提供:Graff Diamonds(グラフ ダイヤモンズ)、Smithsonian Institution(スミソニアン協会)

ダイヤモンドのカットの質とは

カットの質とは、ダイヤモンドのプロポーション、デザイン、仕上げが、全体として美しいダイヤモンドを生み出している度合を指します。プロポーションにはダイヤモンドのファセットの角度と相対寸法が関係しています。デザインは、ダイヤモンドの重量比(ダイヤモンドがその直径に比して重すぎる場合と軽すぎる場合とがある)と耐久性(薄く、もろい部分があることで生じる損傷のリスク)を考慮に入れます。仕上げには二つの要因があります。ポリッシュ(ファセット表面の質と端正さ)とシンメトリー(ファセットの配置と位置)です。これらの要素が一体となって、ダイヤモンドのカットに注がれた職人の技能の質を反映しています。カットの質は、ダイヤモンドと光との相互作用に影響し、ダイヤモンドの輝きやファイア、シンチレーションを左右するため、重要です。

輝き、ファイア、シンチレーションとは何でしょうか?なぜこれらは重要なのでしょうか?
簡単に言うと、輝きとは、ダイヤモンドがファセットから人の目に向けて反射する白色光のことです。ファイアは、ダイヤモンドが白色光をスペクトルの色に分散するときに目に見える、色とりどりの閃光です。シンチレーションは、ダイヤモンドまたはそれを見る者が移動した時に見える、きらめきや明るい部分と暗い部分のパターンのことです。
これら3つの要素によって、ダイヤモンドが華やかな光のショーを見せてくれるのです。

ラウンド ブリリアント ダイヤモンドはGIAのカット グレードの評価を受けますが、ファンシー カット ダイヤモンドには評価が行われません。お手持ちのダイヤモンドにカット グレードの評価があるかどうかに関わらず、カットの質の要素をチェックする方法は以下のとおりです:

3つのラウンド ブリリアント ダイヤモンド
このダイヤモンドのトリオを見れば、カットがなぜ重要かがよくわかる。これらのダイヤモンドのカット グレードは、エクセレント、グッド、プア(左から右)となっている。輝きが最も強く、最も魅力的なパターンを持つのはどれか?写真:Kevin SchumacherおよびGIA
  1. ご自分のダイヤモンドの輝きとシンチレーションを拡散(白色)光の下でチェックしてみてください。ダイヤモンドは白色光(輝き)をたくさん反射しますか?ダイヤモンドを左右にゆらすときらめきを発しますか(シンチレーション)?明るい部分と暗い部分が均等に存在していますか(パターン)?答えがイエスなら、お手持ちのダイヤモンドはカットが優れているということです。
  2. ダイヤモンドのファイアは白熱灯の下でチェックしてください。ダイヤモンドは強いファイアの閃光を放ちますか?虹のすべての色のファイアをできるだけ多く含むダイヤモンドがお望みでしょう。
  3. ダイヤモンドを異なる照明条件で見てみましょう。拡散照明からスポット照明まで、照明環境によってダイヤモンドの外観は大きく変わります。ダイヤモンドが良く見えるのはレストランでですか?屋外、それともオフィスですか?異なる光源でもダイヤモンドが美しく見えるならば、高い品質のダイヤモンドを手にされたということです。

ダイヤモンドのカラーの質とは

非常に希少なファンシー ホワイト カラー ダイヤモンドを除き、大半の人が「ホワイト」ダイヤモンドと呼んでいるのは、実際にはカラーレス ダイヤモンドのことです。ほとんどのカラーレス ダイヤモンドは実際は無色ではなく、わずかにイエロー、グレー、ブラウンの色みがあります。そのためGIAでは、ダイヤモンドに色がどれだけ含まれているか(または含まれていないか)がわかるよう、DからZのカラー グレーディング スケールを作成しました。

DからZのカラー グレード スケール
DからZのカラー グレーディング スケールに沿ったダイヤモンドの数々。写真/イラスト:GIA
GからHのカラー ダイヤモンド
少しずつ暖かい色に。GからHの範囲のダイヤモンドに色があることが見分けられない人は多い。ここに並んでいる石のカラー グレードが見分けられるだろうか?答え:左から右に、D、G、H、H、G。提供:Precious Gem Resources, Inc.(プレシャス ジェム リソーシズ)

一般的に言って、できるだけ無色に近いダイヤモンドのほうが好まれます。完全にカラーレスなのはDカラーだけです。ですが、カラー グレードのずっと高いダイヤモンドを隣合わせに置いて比較するのでない限り、ほとんどの人がGの範囲のダイヤモンドに色があることが見分けられません。カラー グレードに加え、ダイヤモンドのカラーに影響する要素が他にも二つあります:

  1. カット:ブリリアント カット、特にラウンド ブリリアントには色があまり見られません。ファセット数が多いことがその理由の一つです。石の内部で反射し、石を見る者の目に届く白色光はすべて、これらのダイヤモンドをより輝いて見せます。エメラルド カットやAsscher(アッシャー)カットなどのステップ カットでは、ファセットが大きく、数が少ないため、輝きがやや弱くなります。ステップ カットは輝きよりもむしろ、そのエレガントで、きらりと光る鏡の間のような効果が評価されています。ペア、ハート、マーキスでは、先端部分に色がより多く集中するため、こうした部分が暗く見えることがあります。ステップ カットのダイヤモンドや、1つまたは2つの先端部分を持つダイヤモンドを購入する場合、より高いカラー グレードのものをご検討ください。
  2. セッティング:イエロー ゴールドやローズ ゴールドの指輪がお望みでしたら、G以下のカラーの石を選んで予算を節約しましょう。DからFのカラーのダイヤモンドをイエロー ゴールドまたはローズ ゴールドにセットすると、ダイヤモンドは実際よりも暖かい色に見えます。ホワイト ゴールドやプラチナの指輪を購入する場合は、カラー グレードがGからH、またはそれよりも高い石をご検討ください。カラー グレードがI以下の石をホワイト ゴールドかプラチナにセットすると、石がより暖かい色合いに見えます。金属との対照で、石の色が強調されるためです。一方、イエロー ゴールドやローズ ゴールドに暖色の石をセットすると、石の見た目の色を惑わせることができます。
暖かい色のダイヤモンド
左側の指輪に使用されている大きめのダイヤモンド2個は、MからOの色範囲に入る。右側にある指輪の大粒のセンター ストーンはMカラーである。右側のステップ カットのダイヤモンドが、ホワイト ゴールドのセッティングと対照を成して暖かい色に見えることに注目して欲しい。提供:1stdibs(左)、Heritage Auctions(ヘリテージ オークションズ、右)

ダイヤモンドのクラリティの質とは

ほとんどのダイヤモンドには、石の中に閉じ込められた結晶や不規則な構造など、10倍の倍率で見えるインクルージョンがあります。これらは生成過程の結果として生じたものです。これらのインクルージョンやクラリティ特徴は、ダイヤモンドが天然であることを識別するのに役立ち、また科学者に地球について多くを伝えます。ただしほとんどの消費者は、できるだけキズの無いダイヤモンドを求めます。そのためGIAではダイヤモンドのクラリティ グレーディング スケールを考案しました。これにはFlowless(フローレス)およびInternally Flawless(インターナリー フローレス)からIncluded(インクルーデッド)までの範囲が含まれています。ですが、フローレスのダイヤモンドでも完全なフローレスでない場合があります。フローレスというのは単に、10倍の倍率で見たときにインクルージョン、ブレミッシュがともに見られない、という意味です。

ほとんどのダイヤモンドはVS2(ベリー スライトリー インクルーデッド2)またはSI1(スライトリー インクルーデッド1)で、肉眼で容易に確認できるインクルージョンがありません。一方、SI2(スライトリー インクルーデッド2)またはI(インクルーデッド)のクラリティグレードを持つダイヤモンドでは、インクルージョンが肉眼でより簡単に確認できます。 もちろん、これは観察する者の視力にもよります。一般的に、予算を重視する消費者の場合、VSまたはSIの範囲内で同等のダイヤモンドを購入することにより、費用が節約できます。肉眼では、よりクラリティ グレードの高いダイヤモンドと同じように見えるはずです。しかしながら、あなた、またはダイヤモンドを受け取る方が完璧主義者の場合は、VVS2(ベリー ベリー スライトリー インクルーデッド2)以上のクラリティ グレードを検討されたほうが良いかもしれません。ただし、価格も割り増しとなることをご承知おきください。

ダイヤモンド プロット チャート
インクルージョンのあるダイヤモンドとそのプロット。最も顕著なインクルージョンは、石の脇にあるフェザー(フラクチャー)。

良好なクラリティを持つダイヤモンドで注目すべき点は以下のとおりです。

  1. 肉眼で見えるインクルージョンがないこと。拡大鏡なしではインクルージョンが見当たらない、または見つけにくいインクルージョンが数か所あるだけという場合は、ジュエリーとしての使用に十分なクラリティである可能性が高いです。
  1. 肉眼で見えるインクルージョンの位置、大きさ、レリーフ。ダイヤモンドの中心から離れた位置にあるインクルージョンはあまり目立ちません。それらが ブリリアント カット ダイヤモンド(ラウンド、マーキス、ペア、プリンセス等)の端や先端、隅の近くに隠れている場合はさらに見えにくくなります。一般的に、ブリリアント カットの石の先端や隅にあるファセットの数が多いと、小さなインクルージョンには目が行かなくなります。また、端に近い位置にあるインクルージョンはジュエリーのセッティングで隠されてしまうこともあります。当然ながら、小さめで色の薄いインクルージョンも見つけにくく、ダイヤモンドの外観にあまり影響しません。
  2. カット スタイル。概して、ブリリアントカットのダイヤモンドの場合ファセット数が多いため、インクルージョンが比較的目立ちません。ファセット数が多いということは、光の反射が多く、複雑なパターンを生み出すために小さなインクルージョンが隠されることを意味します。ステップ カットのダイヤモンドではインクルージョンはかなり顕著になります。ファセットが大きいうえに数が少ないため、その結果できるパターンがさほど複雑ではないためです。クラリティを下げる場合は、ブリリアント カットの購入を検討しましょう。
ステップ カットのダイヤモンド
このエメラルド カットのようなステップ カットのダイヤモンドでは、ファセットが大きく、その数は少なくなる。大きめのファセットでは、ダイヤモンドの色とインクルージョンがより顕著になる。  GIAでグレーディングされたこのダイヤモンドはDカラーのVVS1で、これは無色で肉眼で見えるインクルージョンがないことを意味する。提供:Christie’s(クリスティーズ)。
  1. 耐久性。クラリティ グレードが低めのダイヤモンドの場合、これは考慮すべき非常に重要な要素です。クラリティがIの範囲、特にI2やI3のダイヤモンドは、耐久性に問題がある場合があります。ダイヤモンドのガードルや先端に大きく欠けている部分やフラクチャー(フェザー)がないことを確かめてください。石が損傷の影響を受けやすくなる原因となり得るからです。ダイヤモンドにフェザーがある場合、石の内部にあって表面に達していないことが望ましいです。

ダイヤモンドの蛍光性とは

ダイヤモンド蛍光性チャート
ダイヤモンドの蛍光性を示すチャート。写真:Harold & Erica Van Pelt/ GIA

蛍光は、紫外線を照射した時に一部のダイヤモンドが発する可視光(発光)です。ダイヤモンドの約3分の1が、目に見える蛍光を示します。これらのダイヤモンドは価格がいくらか低い場合があり、お得になっています。蛍光性のあるダイヤモンドで考慮すべき要素は以下のとおりです:

  1. ダイヤモンドのカラー グレード。強い蛍光はトップ カラー(DからF)の石の価値を下げる場合があります。まれに、極端に強い蛍光によって石が乳白色に、またはかすんで見えることがあります。一方、青の蛍光はカラー グレードの低い石(I以下)の価値を高める可能性があります。ダイヤモンドのイエローの色みを軽減するためです。
  2. 蛍光の色。蛍光性を持つダイヤモンドの95%以上が青い蛍光を発します。他の蛍光色としてはイエロー、レッド、グリーン、ホワイトなどがあります。青の蛍光はダイヤモンドの暖かい色調を隠すことができますが、イエローやグリーンの蛍光ではダイヤモンドの色をより暖かく、強く見せることがあります。イエローやグリーンの蛍光を持つダイヤモンドは、青の蛍光を持つものよりも一般的に価格が低くなっています。
蛍光性のあるダイヤモンドの原石
蛍光性を持つこれらのダイヤモンドの原石は、ダイヤモンドが発する蛍光色の幅広さを示している。写真:GIA
  1. 蛍光の強さ。ダイヤモンドの蛍光が微弱~中程度の場合、恐らくほとんどの照明環境で石に蛍光性があることに気づかないでしょう。強い~非常に強い蛍光を示すダイヤモンドでは、紫外線を含む太陽光の下で乳白色に見える場合があります。GIAグレーディング レポートには、ダイヤモンドの蛍光の強さが記載されます。ですが、ダイヤモンドの蛍光がどのように見えるか理解する最も確実な方法は、異なる照明条件下でじかにダイヤモンドを観察することです。

GIAは、一部のダイヤモンドの蛍光に関する「迷信」を払拭します。

ダイヤモンドとルーペ
ステップ カット、Dカラー、VVS1のダイヤモンドをルーペで観察するジュエラー。提供:Graff(グラフ)

GIAグレーディング レポートのグレードは、お手持ちのダイヤモンドがカラーやクラリティ(ラウンド ブリリアントの場合カットも)のどのグレード範囲に相当するかを示しています。しかし、最終的に選ぶべきダイヤモンドは、どれであれ(もちろん、他の多くのダイヤモンドと比較した後に)自分の目に一番良く映ったものです。上記の秘訣をよく理解するために、GIAグレーディング レポートの読み方を閲覧されるか、またはビデオをご覧ください。