婚約指輪を購入される予定がある方は、ダイヤモンドの重さを測定するカラット重量について知っておく必要ががあります。カラット重量が大事なのは、それがダイヤモンドの価格決定の一役を担い、また希少性を反映するものであるためです。より詳しくみていきましょう。

この記事の内容は次のとおりです。

カラット重量とは?
カラット重量の測定方法とは?
カラット重量はダイヤモンドのサイズとは別のもの
ダイヤモンドのカラット重量は価格にどのように影響するのか
特定のカラット重量を超えるとダイヤモンドの価格は急増する
カラット重量とカラット総重量は別のもの
カラットあたりの価格を用いてダイヤモンドを比較する場合とは
大きいダイヤモンドが必ずしも良いものとは限らない
正確なダイヤモンドのカラット重量を確認するためにGIAのグレーディングレポートを取得しよう

1. カラット重量とは?

カラット重量(ct)は、GIAが考案したダイヤモンドの価値を決定する特性を記述した世界的な基準である、ダイヤモンドの品質を表す4Cの1つです。このほかのCはカラークラリティーカットです。ダイヤモンドの重量はカラット(宝石の重さを測定する国際的な単位)で表わされます。1カラットは1/5グラム(0.2g)に相当します。

初期の宝石トレーダーは、イナゴマメのさやにある種子を天秤の分銅として使用していた。

イナゴマメのさやにある種子はサイズが均一(平均サイズは0.197グラム)なため、初期の宝石トレーダーが天秤の分銅として使用していた。「カラット」の語源はcarob(イナゴマメ)の豆を意味するギリシア語のkeratien(ケラチオン)で、この言葉には重量が少ないという意味もある。写真撮影: Orasa Weldon/GIA

1カラットは100「ポイント」(ptと略される)に分割することができます。カラットとポイントの関係を覚えるには、1カラットを1ドル、1ポイントを1セントに例えると良いでしょう。表記法も同様です。$1.54は1ドル54セントを表わし、1.54ctは1カラット54ポイントを意味します。カラット(carat)とカラット(karat) を混同しないようにしましょう。カラット(karat)は、の純度の尺度です。Karatは「K」または「Kt」と略されます。(注:英国では、「carat」は宝石の重量金の純度の両方を表すのに使われます。)

2. カラット重量の測定方法とは?

ダイヤモンドの計量には、通常マイクロ電子天秤が使用されます。GIAのラボではダイヤモンドを小数点第5位(1.12345)、つまり10万分の1カラットまで計量し、最大限の精度を確保しています。しかし、取引では、通常ダイヤモンドのカラット重量は小数点以下2桁(1.12)、つまり100分の1カラットまでの数字で表わされます。GIAでは通常の数学の切り上げより厳しい規則を使用して、1000分の1の位の最後の桁が9のときにのみダイヤモンドの重量を切り上げます。たとえば、1.128ctの重さのダイヤモンドは1.12ctに切り下げられますが、1.129ctのものは1.13ctに切り上げられます。100分の1の位に端数処理された重量は、ダイヤモンドグレーディングレポートに記録されます。考慮すべき点:ダイヤモンドの価格は、カラットの重量にカラットあたりの価格を乗じて計算されるので、あなたが購入しようとしているダイヤモンドが正確に計量されたかどうかを確認する必要があります。また、記載されているダイヤモンドの重量が小数点以下2桁で示されているかどうかも確認すべき点です。なぜでしょうか?それは0.97カラットのダイヤモンドは1カラット(1.00ct)のダイヤモンドとは等しくないからです。また、両方のダイヤモンドのカラー、クラリティ、カットのクオリティが同じとするとサイズの差が価格に反映されるはずだからです。

14Kホワイトゴールドにセットされた、2つのバゲットカットダイヤモンドのサイドストーン付き5.07カラットのラディアントカットダイヤモンドの婚約指輪。

大きなダイヤモンドは小さいものより希少性が高い。それがこの5.07ctの宝石が大変印象的な理由のひとつである。提供: 1stdibs.com

3. カラット重量はダイヤモンドのサイズとは別のもの

カラットの重量と大きさを同等視するのは常識的なようですが、常にそうだとは限りません。宝石素材ごとに密度(単位体積当たりの質量)は異なるため、同じカラット重量である2つの宝石でも実際にはサイズが非常に異なることがあります。たとえば、ルビーはダイヤモンドより密度が高いため、1カラットのルビーは1カラットのダイヤモンドより小さく見えます。さらに、宝石のカット方法もサイズの見え方に影響します。たとえばカットの質が悪いラウンドブリリアントダイヤモンドの場合、深すぎたり、またはガードルが厚すぎる可能性があります。ガードルの中またはそれより下の部分に余分な重さが隠されてしまいます。ダイヤモンドがセッティングされると、この「隠れた」重さを確認することができません。ですから、カットの質の悪い1.20ctのダイヤモンドは良いカットの1.00ctのダイヤモンドと同じサイズに見えます。あなたは、メリットがないのに余分な重量の分だけお金を出すことになってしまいます。これが、カラット重量よりダイヤモンドのカットグレードが重要になる理由です。考慮すべき点:カラット重量だけを見てダイヤモンドのサイズを推測してはいけません。ラウンドブリリアントカットの場合は、ダイヤモンドのカットグレードを見てみましょう。GIAのグレーディングレポートでご覧いただけます。良いカットが施されていることが確認できれば、無駄になった重量のために余分なお金を出す必要もありません。

写真左のダイヤモンドのガードルは、右のダイヤモンドのものと比べずっと薄い。

右のダイヤモンドの方がガードルが厚いため、重量が重い。ガードルが厚い方は視覚的な利点がないが、余分な重量により左のダイヤモンドと比べて高価になる。両方のダイヤモンドは直径が同じであるため、リングにセットされると同じサイズに見える。写真撮影:Maha Tannous/GIA

4. ダイヤモンドのカラット重量は価格にどのように影響するのか

100カラットを超えるダイヤモンドが採掘されると、ダイヤモンド取引業界ではニュースになります。注目すべき理由の1つは、ダイヤモンドは大きければ大きいほど、希少性が高いからです。そして希少性が高ければ高いほど、価値も高くなります。婚約指輪のダイヤモンドにも同じルールが当てはまります。自然界では1カラット以上のダイヤモンドに比べて1カラットよりも小さいダイヤモンドの方がはるかに多く生み出されます。このことが価格にも反映されます。その希少性のために、大きなダイヤモンドにはプレミアムがつきます。このことから、価格の違いは幾何学的ではなく指数関数的になります。言いかえると、1.00ctのダイヤモンドは0.50ctのものより1カラットあたりの価格が高くなるのです。2.00ctのダイヤモンドの1カラットあたりの価格はは1.00ctのダイヤモンドよりもさらに高くなるでしょう。

5. 特定のカラット重量を超えるとダイヤモンドの価格は急増する

0.98ctと1.01ctのダイヤモンドではサイズの違いを見分けるのが難しいです。しかし中には、切りのいい数値のような象徴的な数字を好む人もいます。カラット重量が0.25ct、0.50ct、0.75ct、1.00ctなどのダイヤモンドを業界では「マジックサイズ」と呼んでいます。マジックサイズのダイヤモンドに出会うことは滅多にないかもしれませんが、これらのマジックサイズのことを覚えておいてください。理由:マジックナンバーまたはそれよりも少し上回る重量のダイヤモンドは通常、カラットあたりの価格が重量がこれよりわずかに少ないダイヤモンドよりも高額になっています。ですので、もしあなたが切りの良い象徴的な「重量」にこだわりがなければ、それよりもわずかに少ない重量のダイヤモンドを選ぶことにより、お金を節約することができるでしょう。

0.75カラットから1.01カラットのダイヤモンドを示す写真。

0.75ctから1.01ctのダイヤモンドを示す写真。しかしここにある石のどれがより大きいかを見極めるのは難しい。写真撮影:Maha Tannous/GIA

6. カラット重量とカラット総重量は別のもの

多くのダイヤモンドの婚約指輪はひとつ以上のダイヤモンドを使用しています。ヘイロー(センターストーンを囲むダイヤモンドまたはカラーストーンの輪)またはサイドストーン(ひとつ以上の宝石がセンターストーンの脇にセットされたもの)が婚約指輪によく使われる人気のデザインスタイルです。「カラット重量」とは1つの宝石の重量を指します。「tcw」と略されることもある「カラット総重量」は複数の石が使用されているリングにおけるすべてのダイヤモンドの重量を指すのに使われています。たとえば、0.30カラットのダイヤモンドのヘイローに囲まれた、1.20ctのセンターダイヤモンドの婚約指輪の場合、カラット総重量は1.50カラットとなります。カラット総重量は婚約指輪の価格に影響します。しかし、すべてが同じ品質である場合、価格を左右するのはセンターダイヤモンドの大きさと、個々のサイドストーンのサイズです。たとえば、0.15ctのサイドストーンを2つ持つ1.00ctのセンターダイヤモンドの婚約指輪の場合、カラット総重量は1.30カラットです。カラット総重量は同じでも、一般的には0.05ctのサイドストーンを6つ持つ、同じダイヤモンドのリングよりも値段が高くなります。同様に、カラット重量1.50ctの単一のダイヤモンドを使った婚約指輪は、カラット総重量1.50カラットのダイヤモンドを有する婚約指輪よりかなり高額になります。

0.91カラットのダイヤモンドのヘイローに囲まれた1.01ctのオールドヨーロピアンカットダイヤモンド。

0.91カラットのダイヤモンドのヘイローに囲まれた1.01ctのオールドヨーロピアンカットダイヤモンド。カラット総重量は1.92カラット。提供: TrueFacet(トゥルーファセット)

重量0.12カラットの6つのラウンドブリリアントカットダイヤモンドが両脇に配置された、2.12カラットのエメラルドカットのダイヤモンド婚約指輪。

重量0.12カラットの6つのラウンドダイヤモンドが両脇にセットされた、2.12ctのセンターストーン。この婚約指輪のカラット総重量は2.24カラット。提供:EraGem.com

センターダイヤモンドにサイドストーンとしてルビー、サファイア、あるいはエメラルドなどのカラーストーンが使われた婚約指輪もあります。異なる種類の宝石が使用されている指輪の宝石の重量を「宝石の総重量」と呼びます。

18Kホワイトゴールドにセットされ、ルビーとダイヤモンドのアクセントに囲まれた1.00カラットのラウンドブリリアントカットのダイヤモンド婚約指輪。

ルビーの総重量が1.62カラットの場合、これがダイヤモンドの総重量1.44カラットに追加され、この指輪の宝石の総重量は3.06カラットになる。提供:EraGem.com

7. カラットあたりの価格を用いてダイヤモンドを比較する場合とは

ルースダイヤモンドを購入しようとする場合、複数の同じようなルースダイヤモンドと比較したいと思われることでしょう。まずは、購入しようと思っているダイヤモンドのカラットあたりの価格を確認してみてください。たとえば、15,000ドルの1.50ctのダイヤモンドの場合、カラットあたりの価格は10,000ドルです。つまり、ダイヤモンドの価格をカラット重量で割ると計算ができます。この例では15,000ドル ÷ 1.50 = 10,000です。同じ価格の1.60ctのダイヤモンドの場合のカラットあたりの価格は、9,375ドル (15,000 ÷ 1.60)になります。カラットあたりの価格を比較の基準とする場合、以下の点を確認してください:

  1. 比較するダイヤモンドが同じラボでグレーディングされたものであること。ダイヤモンドのグレーディングの基準とプロセスはラボによって異なります。
  2. 同じ形であること。カラットあたりの価格は形によって異なることがほとんどです。このことから、たとえば、1.00ctのオーバルまたはペアシェイプと1.00ctのラウンドブリリアントを比較する際には注意が必要になります。
  3. カット、カラー、およびクラリティグレードがまったく同じ、あるいはほとんど同じであること。例えば、1.00ctのラウンドブリリアントカットでカットグレードが「エクセレント」のダイヤモンドと、1.00ctのラウンドブリリアントカットでカットグレードが「プア」のダイヤモンドを比べようとしても、正しい比較をすることができません。

カラットあたりの価格を購入決定の基準とする場合、取るべき最良の方法は同一条件での比較です。より詳細な情報はこちらをご覧ください:ルースダイヤモンドを比較するには

8. 大きいダイヤモンドが必ずしも良いものとは限らない

もしあなたがダイヤモンドの婚約指輪を購入するために無限の予算があるのなら、並外れたカラー、クラリティ、カット、カラット重量のダイヤモンドを購入できるでしょう。しかしほとんどの人は4Cに優先順位をつけて、最も重要なCをどれにするのかを決める必要があるでしょう。大抵、それはカラット重量ではありません。あなたはおそらく、部屋の向こうからでも見逃すことのできないような、あなたを振り向かせる輝きを持つダイヤモンドを希望されるでしょう。しかしダイヤモンドが大きくても、視覚的な派手さを保証するものではありません。ダイヤモンドには見るものにため息をつかせるような輝き、ファイアー、シンチレーションがなくてはなりません。これらの品質は、小さな花火を起こさせる役割を果たすダイヤモンドのカットによって主に決まります。どんなに大きなダイヤモンドでも「フェア」または「プア」のカットグレードのラウンドブリリアントダイヤモンドでは、通常、花火を見ることができません。カラット重量をダイヤモンド購入の際の主な基準にするのは、エメラルドカットのダイヤモンドの場合にも問題となります。エメラルドカットにはエレガントな美しさがありますが、その長い長方形のファセットのため、インクルージョンを上手く隠すことができません。また、ファセッティングのステップカットのスタイルは、カラーグレードの低さを隠してくれるはずのシンチレーションが少なくなってしまいます。そのため、クラリティとカラーグレードは特に重要となります。クラリティまたはカラーグレードの低い大きなエメラルドカットのダイヤモンドは魅力的には見えないでしょう。これらが、カラット重量だけを判断の目安として使用すべきではない理由の2つの例です。ダイヤモンドを購入する際には、4Cのすべてを考慮するのが最善です。

インクルージョンとブレミッシュが見られるラウンドブリリアントカットダイヤモンド。

インクルージョンやブレミッシュはダイヤモンドの美しさを損ねてしまう。写真:Robert Spencer/GIA

9. 正確なダイヤモンドのカラット重量を確認するためにGIAのグレーディングレポートを取得しよう

ダイヤモンドの婚約指輪は、意味深い感情表現でもあり、大きな投資でもあります。あなたの愛と誓いを表現するものなのです。GIAダイヤモンドグレーディングレポートは、あなたが検討しているダイヤモンドのカラット重量の正確さを保証します。

GIA ダイヤモンド グレーディング レポート

GIAダイヤモンドグレーディングレポートは、あなたが自信を持ってダイヤモンドを購入するために必要な情報を提供する。