ダイヤモンドは2つの役割を担っています:4月の誕生石であるとともに、愛の象徴であることはほぼ世界共通です。 ですから、4月生まれの人の場合、この宝石を愛する理由が2つあるのです。 今回の記事はダイヤモンドについての集中講座で、美しい石を選ぶヒントもあります。
内容は以下の通りです。
ダイヤモンドの宝石学的情報
ダイヤモンドの歴史
ダイヤモンドの伝承
ダイヤモンドはどこから来たか
ダイヤモンドの購入時に注目すべき品質
ダイヤモンドのお手入れとクリーニング
4月の誕生石:ダイヤモンドの宝石学的情報
地球上でもっとも硬い天然素材であるダイヤモンドは、モース硬度スケールで10に格付けされ、また単一の元素でできた唯一の宝石で、通常約99.95%が炭素でできています。 残りの0.05%は、ダイヤモンドの本質的な化学組成ではない原子から成る1つ以上の微量元素を含んでいることがあります。 微量元素によっては、ダイヤモンドの色や結晶の形状に影響を与える場合があります。 例えば、窒素の存在はダイヤモンドの黄色い外観の原因となります。 ホウ素の原子は、多くの場合、天然ブルーダイヤモンドの色を作り出します。
ダイヤモンドは、地表からの特定の深さの範囲(約100マイル、160km)でのみ生じうる高温高圧条件下で形成されます。 これは極度な条件で、温度は華氏2102~2192度(摂氏1150~1200度)、圧力は50~70キロバール(海面気圧の5万~7万倍)でなくてはなりません。
マントル中のこの環境下にある炭素原子が、ダイヤモンドとして形成されます。
ダイヤモンドの硬度は、炭素原子の結合方法に由来するものです。 ダイヤモンドの結晶構造は等軸晶系で、炭素原子が基本的に全ての方向に同じ方法で結合しています。 鉛筆の芯の製造に使用される鉱物、グラファイトも炭素でできていますが、分子の結合方法が違うため、硬度はダイヤモンドほど高くありません。
ジェモロジストは、その美しさから、そしてまたその多くが十億年以上も前に形成されたものであるゆえに、ダイヤモンドを愛します。 古代からのこうした美しいものを観察すると、この惑星について多くのことがわかります。
4月の誕生石: ダイヤモンドの歴史
人々のダイヤモンドへの愛はインドで始まりました。ダイヤモンドはインドの国内中の河川から採取されました。 ダイヤモンドは紀元前4世紀から取引が行われ、富裕層の垂涎の的でした。 インドのダイヤモンドは、中世ベネチアの市場まで、他のエキゾチックな商品とともにキャラバンによって運ばれました。 1400年代までにダイヤモンドは、ヨーロッパのエリートたちのためのファッショナブルなアクセサリーとなっていました。
1700年代初頭になると、インドからのダイヤモンドの供給量が減少し始め、ブラジルが重要な産地として台頭してきました。 ダイヤモンドは、金鉱夫が地元の川砂利をふるいにかけていた時に発見されました。 ブラジルは150年以上にわたり、ダイヤモンドの市場を支配しました。
南アフリカの最初の大規模なダイヤモンド鉱床は、1800年代後半に発掘されました。 1866年の南アフリカ、キンバリーでのダイヤモンドの発見は、近代のダイヤモンド市場の発端となりました。 De Beers Consolidated Mines Limited は、1888年に起業家のセシル・ローズによって設立されました。De Beers は、1900年までに世界中のダイヤモンド原石の生産の90%を支配していたと推定されています。
1970年代後半、南アフリカ、コンゴ民主共和国(旧称ザイール)、旧ソビエト連邦は世界で最も重要なダイヤモンド原石の産地でした。 1982年、ボツワナの高い産出量の新鉱山が世界のダイヤモンド生産に加わったことで、同国はダイヤモンドの総産出量で世界第3位、ダイヤモンドの価格で第2位となりました。 ダイヤモンド採掘は、1985年のオーストラリアでの産出源の発見、2000年のカナダ北部の重要な新鉱床の発見により、劇的に拡大しました。
4月の誕生石: ダイヤモンドの伝承
2世紀の無名の詩人は、ダイヤモンドが邪悪な目、つまり病や貧困、また死をも呼ぶと考えられていた悪意を持つ目を退けることができると信じていました。 ダイヤモンドは癒しの力を持つとさえ考えられていたのです。 何世紀にもわたり、ダイヤモンドは解毒剤、疫病からの保護、そして長寿、力、美、幸福などの恵みだと考えられてきました。
ダイヤモンドは4月の誕生石であるだけでなく、60回目および75回目の結婚記念日の贈り物としても選ばれる宝石です。 そしてもちろん、ダイヤモンドの婚約指輪は、ほぼ世界共通の愛と結婚の象徴となっています。
有名なダイヤモンドは数多くあります。 Taylor-Burton Diamond(テイラーバートン ダイヤモンド)、 Cullinan II(カリナン II)、 Portuguese(ポルトガルダイヤモンド)、Jubilee(ジュビリー)、Koh-i-Noor(コイヌール) は、息をのむほど素晴らしいダイヤモンドのほんの数例にすぎません。
4月の誕生石:ダイヤモンドはどこから来たか?
ダイヤモンドは現在、アンゴラからジンバブエまで、世界中で採鉱されています。 ただし、世界の生産の大部分を占めるのは5大産出国です。
ダイヤモンドの上位産出国 – 2015年
国 | ダイヤモンド原石の生産 |
---|---|
ロシア連邦 | 4190万カラット |
ボツワナ | 2070万カラット |
コンゴ民主共和国 | 1600万カラット |
オーストラリア | 1350万カラット |
カナダ | 1160万カラット |
出典:The Kimberly Process(キンバリー・プロセス)
東シベリアでのダイヤモンド採鉱は、まるで冒険小説のようです。 状況設定:ツンドラ、極寒、短日 大道具:キンバーライトパイプ(ダイヤモンドの主要な鉱源となる可能性のある、垂直な柱状の火成岩の塊)を覆う氷を温めて融かすために使用される、ジェットエンジンおよび爆薬。 ストーリー展開:2013年、ロシアのダイヤモンド採掘会社Alrosa(アルロサ)が、凍結したツンドラ地帯に9億7000万カラットが未だ発見されずに存在していると推定。
ボツワナのダイヤモンドは、東部の平原の地中に埋もれています。 こうした高い産出量を誇る鉱山は、国の経済に利益をもたらし、中産階級を生んできました。 同国はまたダイヤモンドの中心地でもあり、世界のダイヤモンド原石の供給量のうち、40%がここで選別され評価されています。
4月の誕生石:ダイヤモンドの購入時に注目すべき品質
20世紀の半ばまで、ダイヤモンドの評価につき決められた基準はありませんでした。 GIA はダイヤモンドの品質の4C を初めて考案し、今ではダイヤモンドの品質を表す基準として世界中で認められています。
- カラー: ほとんどのダイヤモンドにおいて、この用語は色の欠如を表しています。 石が無色に近いほど、望ましいものとなります。 違いは微妙で、訓練を経ていない場合肉眼で見分けることは困難ですが、石の全体的な品質と価値に直接影響を与えます。
- クラリティ: これは、「インクル―ジョン」と呼ばれる内部の特徴、および「ブレミッシュ」と呼ばれる外部の特徴の量、大きさ、位置を表すものです。 グレードは、10倍の倍率で観察した際にインクル―ジョンが全く見られない「フローレス」から、インクル―ジョンを明らかに含む「インクル―デッド」までの範囲となります。
- カット: カットとはダイヤモンドの形状ではなく、プロポーションやファセットの配置、ワークマンシップ(作品の仕上がり)の質を表します。 ダイヤモンドのブリリアンス、きらめき、ファイアーの量はカットによって決まります。 カットのグレードは「エクセレント」から「プア」まであります。
- カラット: この尺度はダイヤモンドの重量を表します。 一般的にはカラット重量が大きいほど、石は高価になります。 ただし、カラット重量が等しい2つのダイヤモンドでも、他の3つのCを考慮した場合、品質や価値が著しく異なることがあります。
4月の誕生石: ダイヤモンドのお手入れとクリーニング
ダイヤモンドのクリーニングは、糸くずの出ない布で拭くか、あるいはぬるま湯と中性洗剤と柔らかい歯ブラシ、または市販のジュエリー洗浄液を使用して行います。 また、ダイヤモンドジュエリーの美しさと完全性を長年にわたり保つために、プロの宝石職人による定期的なクリーニングとセッティングの点検を行ってください。
ダイヤモンドについて学んでこられたので、より賢いお買い物をされることでしょう。 そしておそらく、4月の誕生石の鑑賞眼も高まっていることでしょう。
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