2月の誕生石アメシストは、何世紀にもわたり貴族階級が身に着けてきたものです。 現在では、多くの消費者の手に届くようになりました。 あなたの心にある男性または女性のために、あるいはあなた自身への最高のプレゼントとして、素晴らしいアメシストを選ぶ方法をご覧ください。

この記事では、次の事項をカバーします。
アメシストの宝石学的な特徴
アメシストの歴史と伝承
アメシストはどこから来るのか
注意して見るべきアメシストの品質
アメシストのお手入れとクリーニング

アメシストをセンターストーンにしたこのリングが別世界のように見えるとしたら、これがArya Eshaのギャラクシーコレクションのものだからだろう。

アメシストをセンターストーンにしたこのリングが別世界のように見えるとしたら、これがArya Eshaのギャラクシーコレクションのものだからだろう。 提供: Arya Esha


2月の誕生石:アメシストの宝石学的な特徴

アメシストは、鉱物種クォーツの中の紫色の変種です。 色の範囲は、品質の良い宝石では飽和の強いスミレ色がかった紫から赤みがかった紫まで、消費市場向けの品質の石ではグレーがかった紫まであります。 アメシストの結晶構造の中の微量の鉄に影響を与える自然の放射線照射がアメシストの特徴的な色の元になっています。 アメシストは一般的にカラーゾーニングを示します。大概は、暗めの紫と明るめの紫の角度のある帯状で現れます。 飽和した紫色は通常、アメシストの結晶の先端の方に限られており、結晶の残りの部分は無色になっていきます。 アメシストの結晶1個をカットしていくと、大抵の場合、高品質の濃紫色の石が数点と、低品質の薄い色の石がたくさんできあがります。

美しい石で手頃な価格のため、アメシストはジェモロジストと消費者のどちらからも愛されています。 品質の良いアメシストでも、控えめな価格がつくこともあるのです。 他にも理由があり、アメシスト原石は魅力的な形態で産出することもあげられます。 ブラジルのような宝石の産地では、アメシストは中に人が立つことができるくらい大きな中空で表面に結晶の並んだジオード(晶洞)を形成することがあります。

22.62カラット(ct)のクッションカットのアメシストは、背後のアメシスト原石に対してドラマチックな前景を見せる。

22.62カラット(ct)のクッションカットのアメシストは、背後のアメシスト原石に対してドラマチックな前景を見せる。 写真:Robert Weldon/GIA


2月の誕生石:アメシストの歴史と伝承

アメシストの名前はギリシア語のアメシストス(amethystos)に由来し、これは飲み過ぎのときの治療を意味し、この紫の宝石に長いこと言われ続けている利点です。 この宝石の色にとても似ているワインにあたる言葉がMethy(メシ)であることも偶然ではありません。 アメシストはまた、身に付ける者の思考をクリアにして、戦闘や商売の場で理性をもってすばやく対処できる力を与えると信じられています。
ルネサンス期のヨーロッパでは、情熱にたぎる恋人を落ち着かせると考えられていました。

アメシストは伝統的に結婚6周年に贈られる宝石です。 結婚祝いの場でアメシストを身に付けたり、2月の誕生石として着けたりすれば、あなたも王室の仲間入り。女帝キャサリン(ロシア女王エカチェリーナ2世、1729-1796年)はアメシストが大のお気に入りで、ネックレス、イヤリングなど、アメシストの装飾品で着飾っていました。 ジュエリー通として有名なウィンザー公爵夫人のウォリス(1896-1986年)は、1953年のベルサイユでの祝賀会で豪華なCartier(カルティエ)デザインのアメシストのビブ(胸当て)ネックレスを身に付けた時に、印象的な言葉を残しました。

ウィンザー公爵夫人の胸当て風スタイルのネックレスを華やかに彩るのは、ステップカットのアメシスト27個、オーバルのファセットカットされたアメシスト1点、そしてフロントの大きなハート型のアメシスト、さらにカボションのトルコ石とブリリアントカットのダイヤモンドで、これらはすべてロープ状のゴールドチェーンに下げられている。

紫やブルーのカラフルな色が集められたウィンザー公爵夫人の胸当て風スタイルのネックレスを華やかに彩るのは、ステップカットのアメシスト27個、オーバルのファセットカットされたアメシスト1点、そしてフロントの大きなハート型のアメシスト、さらにカボションのトルコ石とブリリアントカットのダイヤモンドで、これらはすべてロープ状のゴールドチェーンに下げられている。 提供:N. Welsh、Cartier Collection © Cartier(カルティエ)


2月の誕生石:アメシストはどこから来るのか

アメシストは、ブラジルに大きな鉱床が見つかった19世紀まではルビーやエメラルドのように高価でした。 ブラジルは今もアメシストの重要な産出地です。また最南端の州、リオ・グランデ・ド・スルは特に生産性の高い地域です。 アメシストの豊富な鉱床に加え、この地域は広大な草原、生い茂る森、滝があり、パンサーやジャガーの住み処でもあります。

ボリビアのアナイ鉱山は、もうひとつのアメシストの有名な産出地です。 パンタナール湿地に隠れたアナイ鉱山は魅力的な伝承に包まれています。 そこは1600年代にスペインのある征服者により発見され、彼がアナイ(アヨレオ族出身の姫)と結婚した時に花嫁の持参金として与えられた土地でしたが、その後3世紀の間忘れ去られ、1960年代に再発見されました。

アメシスト結晶の宝の山がアナイ鉱山の壁を埋め尽くす。

アメシスト結晶の宝の山がアナイ鉱山の壁を埋め尽くす。 写真:Robert Weldon/GIA。

2月の誕生石アメシストはザンビアでも見つかります。 ザンビアは主な産地でもあり、カリバ・アメシスト鉱山は重要な産出地です。 ここで採鉱されるアメシストの多くは、豊かに飽和した色で、素晴らしい品質です。

左側はザンビア産のアメシストで、 右はブラジル産のアメシスト。

左側はザンビア産のアメシストで、 右はブラジル産のアメシスト。 写真:Robert Weldon/GIA。 提供:Pala International(パラ・インターナショナル)


2月の誕生石:注目して見るべきアメシストの品質

素晴らしい宝石を手に入れるには、次のヒントを参考にしてください。

  • カラー:最高品質のアメシストは、強い紫、あるいは赤みがかった紫で、カラーゾーニングが見受けられません。 褐色みやブロンズ系の色みのあるものは、劇的に価値が下がります。 色の飽和が少しでも良くないアメシストは、色の飽和が良いものより手頃な価格になります。 明るいライラック色のアメシストは通常、濃い紫のものよりかなり価格が下がります。
  • クラリティ:ファセットカットされたアメシストのほとんどすべては、アイクリーン、すなわち裸眼で見えるインクルージョンが無いものです。 目に見えるインクルージョンがある素材は通常はビーズやカボションにカットされます。
  • カット:10カラット、20カラット、それ以上に大きくて、ファセットカットされたアメシストも珍しくありません。 アメシストは豊富にあるため、ファセットカットされた石で色や形状の揃うセットがブレスレットやネックレス用に比較的簡単に手ります。 またこの宝石は、様々なファンシーカットや一般的でないサイズのものなども見つかります。
目を引く幻想的なカットのアメシストペンダント。

溝やへこんだファセットの数々が、この目を引く幻想的なカットのアメシストペンダントに動きと命を吹き込んでいる。 提供: Sonja Kreis Unique Jewellery and Gems


2月の誕生石:アメシストのお手入れとクリーニング

アメシストはモース硬度スケールの7です。 これは、リングや他のジュエリーとして日常の使用にも適していることを意味しますが、時間の経過と共に摩耗するため再研磨が必要となることがあります。 アメシストはルビーやサファイア、ダイヤモンドといった硬い宝石よりもダメージを受けやすく、これらの石によって傷がつく場合があるため、アメシストと隣接して保管しないでください。

熱処理は、天然アメシストの色の改善、また市場価値を高める最も一般的な技術です。 熱処理は淡いアメシストを濃くすることはできませんが、非常に濃いアメシストの色を明るく綺麗な色にすることができます。 また、アメシストの好ましくない茶色がかったインクルージョンを取り除くことができる場合もあります。 アメシストの中には熱処理でイエロー(シトリン)に変わるものもあります。

アメシストを熱処理すると、カラーは耐久性を持ち永久的な変化になります。 しかし、強い熱に充てると、通常より少々もろくなることがあるので、尖ったファセットカットの角やエッジを傷つけないように配慮する必要が出てきます。 また、過剰な熱は色を全体的に取り除いてしまうこともあり、長期的に強い光にさらされると色が褪せるアメシストもあることにご注意ください。 カラーは通常の使用では安定していますが、ビーチで毎日身に付ける宝石ではありません。

アメシストのジュエリーは超音波クリーナーやスチーマーで洗浄可能ですが、熱衝撃を避けるように注意して使用してください。 低刺激の石鹸で柔らかいブラシを使うことは最も安全です。

購入する時、合成アメシストに出会うこともあるでしょう。 天然アメシストに対して同じ化学成分を持つ合成アメシストは、1970年代から製造されています。 製造過程がどんどん洗練されたため、宝石学ラボでも合成アメシストを天然と見分けることが難しくなりました。 GIAでは違いをお伝えできますが、ジュエリー業界の多くが検査を希望しません。あまり高価ではない宝石の起源を特定するには費用と時間がかかるからです。 そうであっても、業者は宝石が天然か合成か消費者に伝えることが必須です。

ブラジルのミナスジェライス州、Montezuma鉱山で採鉱されたこの宝石は、クォーツの様々な配色を見せる。未処理のアメシスト(左)、熱処理されたグリーンクォーツ(中央)、熱処理と照射処理を施したバイオレットクォーツ(右)。

ブラジルのミナスジェライス州、Montezuma鉱山で採鉱されたこの宝石は、クォーツの様々な配色を見せている。未処理のアメシスト(左)、熱処理されたグリーンクォーツ(中央)、熱処理と照射処理を施したバイオレットクォーツ(右)。 写真:Robert Weldon/GIA。 ブラジル、ゴベルナドル・バラダレス、Pinkstone International(ピンクストーンインターナショナル)、Henrique FernandesとGabriel Freitasより寄贈。

アメシストは何世紀にもわたり、王や女王を魅了してきました。 この最高の贈り物を2月が誕生日のあなたの愛する人にご購入する際のヒントがお分かりでしょう。 簡単なヒントとしては、次回のショッピングの際にアメシスト購入ガイドをご覧ください。