12月の誕生石からどれか一つを選ぶとしたら、タンザナイト、トルコ石、ジルコンのどれをお選びになりますか?青から青みがかった紫色のタンザナイト、濃い青から緑色のトルコ石、様々な色のジルコンなど、あなたにぴったりの色を見つけることができるでしょう。あなたの1点を見つけるお手伝いをいたします。

この記事の内容は次のとおりです。

タンザナイト:最も新しい12月の誕生石
タンザナイトの宝石学的特性
タンザナイトの歴史と伝承
タンザナイトの産地
タンザナイトの購入時に注目すべき品質
タンザナイトの処理、お手入れとクリーニング

トルコ石:歴史ある12月の誕生石
トルコ石の宝石学的特性
トルコ石の歴史と伝承
トルコ石の産地
トルコ石の購入時に注目すべき品質
トルコ石の処理、お手入れとクリーニング

ジルコン:カラフルな12月の誕生石
ジルコンの宝石学的特性
ジルコンの歴史と伝承
ジルコンの産地
ジルコンの購入時に注目すべき品質
ジルコンの処理、お手入れとクリーニング

タンザナイト:最も新しい12月の誕生石

非常に素晴らしい紫がかった青い色を持つトリリアントシェイプのタンザナイトは、12月の誕生石として人々を魅了する。写真:Robert Weldon/GIA

非常に素晴らしい紫がかった青い色を持つトリリアントシェイプのタンザナイトは、12月の誕生石として人々を魅了する。写真:Robert Weldon/GIA

タンザナイトの宝石学的特性

タンザナイトは、鉱物種ゾイサイトの、青色からすみれ色~青みがかった紫色の変種です。この12月の誕生石が商業的に採鉱されている地域は世界で一つ、タンザニアのメレラニ・ヒルズで、タンザナイトの名もこの地に由来します。タンザナイトの外観は、多色性によって大きな影響を受けます。多色性とは、宝石を異なる方向で見たときに異なる色を示すという、一部の宝石に見られる性質です。タンザナイトは、サファイアの色に似たすみれ色がかった青色や濃青色か、もっと紫の強い色味の場合があります。研磨済みの石を静かに揺り動かしたり傾けたりすると、すみれ色がかった青と紫の色味がどちらも簡単に見ることができます。タンザナイトは脆性があまり高くなく、モース硬度スケールの6から7です。ちなみにダイヤモンドは10です。モース硬度スケールは指数関数的ですので、ダイヤモンドはタンザナイトよりも何倍も硬度が高いのです。タンザナイトの靱性(宝石素材の破断や欠け、割れに対する抵抗の尺度)はフェアからプアです。一方向の劈開(原子面に沿って結晶鉱物が破壊される傾向)があり、急激な温度変化に敏感なためです。ジェモロジストは、タンザナイトの異なる方向から見たときに3つの異なる色が見られるところを大変好んでいます。

5.59 カラット (ct) のオーバルシェイプのタンザナイトに対し、28個のチャネルセッティングされたテーパードバゲットと12個のラウンドブリリアントカットのダイヤモンドがコントラストを成している。

夕方の空の泉と星の畑を思い起こさせる、5.59 カラット (ct) のオーバルシェイプのタンザナイトに対し、28個のチャネルセッティングされたテーパードバゲットと12個のラウンドブリリアントカットのダイヤモンドがコントラストを成している。提供:EraGem.com

タンザナイトの歴史と伝承

タンザナイトは、ジュエリーに使われるカラーストーンの中では比較的新しい宝石ですが、20世紀の最も刺激的な宝石の発見の一つでした。タンザニアで採掘された青い石は、1962年にポーランド人の国籍離脱者George Kruchlukによって鉱物ゾイサイトと識別されました。しかし、探鉱者のManuel D’Souzaがマサイの部族民の助けを借りて主要な鉱源であるメレラニ鉱床を見つけたのは、1967年のことでした。D’Souzaは、4件の採鉱権を登録しました。当時、宝石の種類に関しては混乱がありましたが、噂は口伝えで拡がり90件のさらなる採掘権がすぐに登録されました。Tiffany & Co.(ティファニー・アンド・カンパニー) は、タンザナイトの国際的にアピールできる可能性を認め、主要な販売業者になりました。ティファニーは、1968年にタンザナイトの販売促進のために大々的な宣伝キャンペーンを展開しました。その鮮やかな色、高いクラリティ、そして大きなカットストーンの可能性により、タンザナイトはあっという間にセンセーションを引き起こしました。現在では、12月の誕生石であるだけでなく、結婚24周年を祝う宝石にもなっています。

タンザナイトの産地

草で覆われた丘、低い茂み、岩混じりの土、時折見える木がメレラニ丘陵の風景を形作っています。大がかりな機械作業が行われ、数千人の労働者が鉱山から地中深く100メートル以上掘削してタンザナイトを採掘しています。鉱山の北側にそびえ立つのは、キリマンジャロ山の雪で覆われた斜面です。

雲の中からのぞいているのは、キリマンジャロ山の頂上。タンザナイトはキリマンジャロ山の陰で採掘される。

雲の中からのぞいているのは、キリマンジャロ山の頂上。タンザナイトはキリマンジャロ山の陰で採掘される。写真: Eric Welch/GIA

タンザナイトの購入時に注目すべき品質

カラー:タンザナイトで最も珍重される色は、上質のサファイアに似たピュアブルー、もしくは濃いバイオレットブルーです。ボディカラーが青みがかったパープルのタンザナイトも人気が高いですが、価値は劣ります。どの色相においても淡い色は、彩度の高い色ほど珍重されません。

上質なサファイアの深みのある青を模した4.91ctのタンザナイトと、その威厳に満ちたダイヤモンドフレーム。

上質なサファイアの深みのある青を模した4.91ctのタンザナイトと、その威厳に満ちたダイヤモンドフレーム。その豊かな色に魅了される。提供: 1stdibs.com

クラリティ:タンザナイトにはほとんどの場合、肉眼で見えるインクルージョンがありません。もしインクルージョンがあり、それが特にフラクチャーなど耐久性を脅かすものの場合、その価値は下がります。カット:タンザナイトの形はさまざまですが、クッションオーバルのカットが最も一般的です。タンザナイトはその多色性により、カットする方向がその石を正面から見た時の全体の色を決定することになります。青みがかったパープルの色を強調するようにタンザナイトをカットすると、通常、ピュアブルーとか紫がかったブルーになるようにカットするのに比べて、カットロスは少なくなります。カット職人は、小さくてもトップカラーの宝石にするのか、大きくて青みがかったパープルの色を見せるものにするのか、どちらかを選択をしなくてはなりません。カラット重量:濃く深い色をもつ上質なタンザナイトは、5.00カラット以上の大きなサイズのものに見られます。小さなサイズのものは彩度が低く、量産向けジュエリーによく見られます。

Sir Zoltan Davidの魔法の「Flowerfly(フラワーフライ)」ネックレスには、約17.67カラットのタンザナイトの花が咲いている。

Sir Zoltan Davidの魔法の「Flowerfly(フラワーフライ)」ネックレスには、約17.67カラットのタンザナイトの花が咲いている。こちらは、2007年にTanzanite Foundation(タンザナイト財団)の “Be Born to Tanzanite(ボーン・トゥ・タンザナイト)”コンペティションで入賞した。写真撮影:Robert Weldon/GIA、提供: Zoltan David

タンザナイトの処理、お手入れとクリーニング

タンザナイトは通常の着用状態では安定性があり、つまり通常の熱、光及び一般的な化学薬品の影響に対して抵抗性があります。そうは言っても、タンザナイトを非常に高い温度や急激な温度の変化にさらすと割れてしまう可能性があります。また塩酸やフッ酸により損傷する恐れがあります。タンザナイトのクリーニングには、温かい石鹸水を使用するのがどの場合においても最良な方法です。超音波洗浄器やスチームクリーナーはタンザナイトには決してお勧めできません。未処理のタンザナイトは、通常、茶色です。タンザナイトは、青~青みがかった紫色が優勢となるように色を改変するため、熱処理されるのが慣例です。この処理は、その後の耐久性の問題がなく安定しています。

トルコ石:歴史ある12月の誕生石

この魅力的なリングでは、ダイヤモンドの海岸線がトルコ石の海を囲んでいる。

この魅力的なリングでは、ダイヤモンドの海岸線がトルコ石の海を囲んでいる。提供: Arya Esha

トルコ石の宝石学的特性

トルコ石は、地球上でわずかな場所でしか見つかりません。酸性で銅を豊富に含む地下水が下にしみこみ、深く変質した岩や壊れた岩を通してリンやアルミニウムを含む鉱物と反応する、乾燥した不毛の地域です。この堆積プロセスの結果、多孔性で半亜透明〜不透明の銅・アルミニウム含水リン酸塩ができます。トルコ石のきめは、その構造と性質に関係しています。トルコ石は固体の塊を形成する微細な結晶の集合体です。結晶が密に集合していれば、孔は少なくなり、良質なきめになります。上質なきめのトルコ石は、研磨することによって魅力的なろう状光沢になります。密でない結晶構造を持つトルコ石は、多孔性が高くきめが粗いので、研磨すると鈍い光沢になります。多孔性ときめは、外観に影響するだけではありません。トルコ石の耐久性にも影響を与えます。トルコ石の硬度は低く、モース硬度スケールの5から6です。きめの粗いトルコ石の靭性も低くなり、フラクチャーも生じやすくなります。良質なきめを持つトルコ石の靭性は、フェア(可)からグッド(良)です。ジェモロジストたちはこの12月の誕生石を大変好みます。トルコ石のクモの巣状の模様は、母石がどのような岩石であったかという証拠を示してくれるからです。また、トルコ石が宝石の中で最も鮮やかな青色や緑色を生み出す銅で着色されるところも好まれる点です。

不透明、半亜透明、またはクモの巣状の格子縞でも、トルコ石は魅力的である。

不透明、半亜透明、またはクモの巣状の格子縞でも、トルコ石は魅力的である。合成写真: Eric Welch, Robert Weldon, Terri Weimer/GIA, Edward J. Gübelin 博士コレクション. 提供(右端):Barlow’s

トルコ石の歴史と伝承

トルコ石は何千年もの間大切にされてきました。古代エジプトのファラオやその他の支配者は、自らの装飾にトルコ石を使用していました。中国の職人たちは3000年以上前にトルコ石を使って彫刻をしていました。この12月の誕生石は、健康と幸運をもたらすなど、多くの有益な力を持っていると考えられていました。13世紀以降、トルコ石は身につけている人が落下する(特に馬からの)のを防ぐことができ、災害が近づくとに粉々に壊れてしまうと考えられていました。ヒンズー教徒の神秘主義者たちは、新月を見た後にトルコ石を見ることで、素晴らしい財産が確保されると信じていました。トルコ石はアメリカ先住民の生活において重要な役割を担っていました。アパッチ族は虹の終わりを追えばトルコ石を見つけられると考えていました。また、トルコ石を弓や銃器につけることで、より正確に標的を狙うことができると信じられていました。プエブロ族は、トルコ石が空から色を奪ったと主張していましたが、ホピ族は地球上を駆け抜けるトカゲによって作られたと考えていました。

ズニ族の職人が作ったトルコ石のブローチ。

ズニ族の職人が作ったトルコ石のブローチ。提供: 1stdibs.com

トルコ石は3000年以上前にエジプトを統治したツタン王の葬祭用の仮面を装飾しています。また、英国女王エリザベス2世のコレクションにあるヨルダンのトルコ石のデミパリュール(トルコ石、ダイヤモンド、サファイアのネックレスとイヤリングのセット)など、現代の皇族のジュエリーにも使われています。ウィンザー公爵夫人ウォリス・シンプソン(1896-1986)は、有名なカルティエ製アメシストとトルコ石のネックレスを着用していました。またトルコ石は、結婚11周年記念(日本では3周年とされる場合が多い)の宝石でもあります。

魅惑的な色のディスプレイ、ウィンザー公爵夫人のためのカルティエのビブネックレスは、トルコ石のカボションとファセットカットされたアメシストの海を特徴としている。

魅惑的な色のディスプレイ、ウィンザー公爵夫人のためのカルティエのビブネックレスは、トルコ石のカボションとファセットカットされたアメシストの海を特徴としている。提供:N. Welsh、Cartier Collection © Cartier(カルティエ)

トルコ石の産地

トルコ石は1000年以上にわたり、イランのニシャプール地区で採掘されています。この地域で産出される均一な色を持つ濃い青色のトルコ石は、「ロビンズエッグブルー(コマドリの卵の青色)」や「スカイプルー」、「ペルシアンブルー」などと呼ばれています。現在、取引業者は産地にかかわらず、これらの用語をトルコ石の色を表現する際に使用しています。

ニシャプールに向かう途中の景色。

ニシャプールに向かう途中の景色。提供:Eduard J. Gübelin博士

米国ではニューメキシコがトルコ石の最大の生産地でしたが、それも1920年代までのことで、現在では米国のほとんどの トルコ石は、アリゾナとネバダで採掘されています。鉱山には、ドライクリーク、イースターブルー、エメラルドバレー、フォックスのような魅力的な名称がつけられています。アリゾナのキングマン鉱山は、濃い青色のトルコ石の産出するとして歴史的に重要な原産地です。現在では、トルコ石の採掘は行っていませんが、スリーピングビューティー(眠れる森の美女)鉱山は40年以上もの間、トルコ石の多産地でした。

このネックレスに使用されている濃い青のトルコ石のビーズは、アリゾナのスリーピングビューティー(眠れる森の美女)鉱山産。

このネックレスに使用されている濃い青のトルコ石のビーズは、アリゾナのスリーピングビューティー(眠れる森の美女)鉱山産。写真撮影:Robert Weldon/GIA、提供: Somewhere In The Rainbow(サムウェア・イン・ザ・レインボウ)

現在では、中国が世界最大の上質なトルコ石の産出国です。中国で採掘されている、宝石品質のトルコ石の大半の原産地は中国中部の湖北省です。

トルコ石の購入時に注目すべき品質

カラー:トルコ石のカラーは通常、明るいものから中程度の青色または緑がかった青色の範囲です。斑入りのものも多く見られ、また、暗色のシミが見られる場合もあります。また、母岩が全体に脈状に入っていることもあります。トルコ石で最も高く評価される色は、均質で濃いミディアムブルーで、母岩はなく、研磨してきれいな光沢の出るものです。しかし、緑色がかったブルーを好む消費者もいれば、「アボカド」あるいは「ライム」グリーンと呼ばれるトルコ石を積極的に求める現代的なデザイナーもいます。クラリティ:ターコイズの透明度は半亜透明から不透明になります。半亜透明の石が好まれます。

この独特の作品でゴールドのチェーンからぶら下がる多数のトルコ石が、どれも均一な色をしていることに注目。

この独特の作品でゴールドのチェーンからぶら下がる多数のトルコ石が、どれも均一な色をしていることに注目。提供:Denise James

カット:トルコ石は、多くの場合カボション型に細工されます。滑らかで丸みを帯びたドーム形状により、トルコ石の色とテクスチャー、母岩が美しく現れます。さらに、製造業者や職人は、トルコ石原石をネックレス用にラウンドか長方形のビーズに加工したり、あるいはジュエリーインレーで人気がある平らな小片に加工したりします。他の未加工石は、タンブル研磨で「ナゲット」にされたり、原石の形状を反映した自由形状に研磨されることがあります。その他の例として、一部のトップカラーのブルートルコ石にはペルシャやアラビアの碑文を彫刻し、金ではめ込むものもあります。カラット重量:さまざまなサイズのトルコ石が入手可能です。非常に小さなものを含めあらゆるサイズのものが、アメリカ先住民の宝飾品として使用され、また大きな石は、以前から彫刻用に人気があります。どのサイズにおいても、品質と色の均一性が価値を決める最も重要な要素です。豊かな青色のトルコ石を24金で囲むことで、このイヤリングを魅惑的に見せてくれている。

豊かな青色のトルコ石を24金で囲むことで、このイヤリングを魅惑的に見せてくれている。提供:Lika Behar

トルコ石の処理、お手入れとクリーニング

無色のワックスまたはポリマーは、トルコ石の色と光沢を高めるためによく使用されます。他の処理として、薄くスライスしたトルコ石にエポキシを塗布して強化したり、ラッカーやエポキシのコーティングを施したり、金属充填エポキシで作られた模造のパイライトでキャビティを充填することがあります。温かい石鹸水でトルコ石の宝飾品をクリーニングするのが安全であり、決してスチームクリーナーや超音波洗浄器を使用しないでください。一部のトルコ石は熱や溶剤によって、処理された表面が損傷する恐れがあります。トルコ石は通常は光に対して安定していますが、高温によって変色したり損傷する恐れがあります。トルコ石は各種の酸により損傷を受けることあります。また、一部の化学薬品、化粧品、さらには皮脂や汗によっても変色する恐れがあります。

ジルコン:カラフルな12月の誕生石

合計0.51カラットのダイヤモンドに囲まれた、19.76ctのオレンジがかった茶色のジルコン。

合計0.51カラットのダイヤモンドに囲まれた、19.76ctのオレンジがかった茶色のジルコン。提供: 1stdibs.com

ジルコンの宝石学的特性

ジルコンは、イエロー、グリーン、レッド、オレンジ、ブラウン、ブルーというその多彩な色相によって、知識のある消費者だけでなく収集家の間でも好まれています。ジルコンの硬度は、モース硬度スケールの6から7.5です。

これらのカラフルなジルコンは、スリランカ、カンボジア、タイ、タンザニアおよびその他の国で採れたもの。

ジルコンには、様々な魅力的な色がある。写真:Robert Weldon/GIA、Edward J. Gübelin博士コレクション

無色のジルコンは、そのブリリアンスや、ファイアーと呼ばれる様々な色の光の反射で知られています。この二つのジルコンの特性はダイヤモンドの特性にかなり近いため、何世紀にもわたり二つの宝石は混同されてきました。

ダイヤモンドのヘイローで囲まれたこの11.41ctのオーバルシェイプのブルージルコンは、見るものをその無限空間に誘う湖のようだ。ツァボライトガーネットのサイドストーンが、凍てついた景色に緑の息吹を与えている。

ダイヤモンドのヘイローで囲まれたこの11.41ctのオーバルシェイプのブルージルコンは、見るものをその無限空間に誘う湖のようだ。ツァボライトガーネットのサイドストーンが、凍てついた景色に緑の息吹を与えている。提供:Omi Privé

ジルコンには初期の地球について語る地質学的な時計の役を果たしている放射性微量元素が含まれていることから、ジェモロジストはこの宝石を好みます。また、ジルコンは光沢、屈折率(光が宝石の表面から垂直以外の角度で発せられる際に曲がる程度を示すもの)、分散度が非常に高く、これらによってブリリアンスと虹色に輝くファイアーが多く見られます。

ジルコンの歴史と伝承

ジルコンの語源については、様々な議論を引き起こしました。一部の学者は、この石の名前が「鮮赤色(cinnabar)」や「朱色(vermilion)」を意味するアラビア語 zarkun に由来すると考えています。またペルシャ語zargun、即ち「金色の」 が出所であると信じる人もいます。ジルコンの色の範囲を考えると、どちらの由来もありえます。ジルコンには魅力的な伝承があります。中世には、この宝石はが安眠を誘い、悪霊を追い払うものと考えられていました。ヒンズー教では、ジルコンは9つのナヴァラトナの宝石の一つとしてヘソナイトガーネットに代わるものです。9つの宝石を身につけると、身につけた人を守り、健康、富、知恵をもたすと言われています。ビクトリア朝時代の人々はブルージルコンを好みました。上質な石が1880年代の英国のエステートジュエリーに見受けられます。

このように威厳のある指輪をみると、ブルージルコンの人気の理由がわかる。

このように威厳のある指輪をみると、ブルージルコンの人気の理由がわかる。提供: LeVian

ジルコンの産地

スリランカの豊富な宝石は伝説的です:様々な色のサファイア、ルビー、アレキサンドライトスピネルトルマリンムーンストーン、クォーツ、その他の宝石鉱物がここで採掘されています。そしてもちろんジルコンもここで採掘されています。中央スリランカの宝石採鉱地エラヘラは、スリランカ国内で産出量が最も多い地域のひとつです。山々とジャングル、そしてたゆまぬ小川がドラマチックな風景を織りなしています。

個人で採掘を行う鉱夫が、スリランカのエラヘラ地域で宝石を探す。

個人で採掘を行う鉱夫が、スリランカのエラヘラ地域で宝石を探す。写真:Vincent Pardieu/GIA

オーストラリアのハーツレンジは、イエローブラウン、オレンジブラウン、ピンクやパープルのジルコン産出地として知られています。そこに行くと、広大なサバンナ、乾燥した河床、そして地平線と交わる低層の丘が見えます。ジルコンはジルコンヒルで採掘されています。近隣のアリススプリングス市は、アウトバック文化、原住民アート、乾燥した河床で行われるレガッタレースのような風変わりなスポーツイベントで知られています。ジルコンはしばしばサファイア鉱床の付近で発見されます。ジルコンとサファイアの二つが産出される国には、スリランカ、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、オーストラリアなどがあります。

ジルコンの購入時に注目すべき品質

カラー:一部のジルコンは、イエローイッシュおよびレッディシュブラウンのような暖かい秋を思わせるアーストーンを呈しています。レッドとグリーンのジルコンは、収集家の石として市場価値があり、キャッツアイジルコンは、時折市場でみられます。無色のジルコンもあります。

爽やかな秋の日、7.96ctのジルコンを特徴とするこのリングには、暖炉とアップルサイダー(アメリカの秋冬の風物詩)が正にぴったりの背景となる。

爽やかな秋の日、7.96ctのジルコンを特徴とするこのリングには、暖炉とアップルサイダー(アメリカの秋冬の風物詩)が正にぴったりの背景となる。写真撮影:Robert Weldon/GIA、提供:Richard Krementz Gemstones

収集家は様々なジルコンの色を愛好していることは間違いありませんが、消費者はただひとつの色相「ブルー」に殆ど夢中のようです。宝石ディーラーは、販売されるジルコンの少なくとも80%はブルーであると報告しています。需要が多いので、ブルージルコンは、他のどの色のものよりも通常高い価格がつきます。

Lisa Krikawaによるデザインの、ブルージルコンがセンターステージを飾る「Reine de Glace(氷の女王)」ペンダント。

Lisa Krikawaによるデザインの、ブルージルコンがセンターステージを飾る「Reine de Glace(氷の女王)」ペンダント。提供:Krikawa Jewelry Designs John Dyer & Co.によるブルージルコン

クラリティ:ジルコンには、インクルージョンがあまり見られません。しかし、多くの未処理のジルコンは、曇ったような、またはスモーキーな外観をもっており、その度合いが極端な場合にはバイヤーにとってマイナスの要因になることもあります。ビクトリア朝時代、ジルコンは、このスモーキーさのために、喪の時に使うジュエリーとして人気の高い宝石になりました。今日では、ファセットカットされたジルコンには大抵、​​肉眼で見えるインクルージョンがありません。目に見えるインクルージョンは、ジルコンの価値を引き下げる要因になります。まれに、ジルコンは長くて平行なインクルージョンを含むことがあり、こうした石をカボションカットするとキャッツアイ効果が生じます。

カット:ジルコンは脆いのでカットはとても難しくなります。カッターは通常、その輝きとファイアーを活かすため、ジルコンをブリリアントスタイルに加工します。ジルコンはまた、平行なファセットがたくさんあるステップカットや、ブリリアントとステップカットの組み合わせであるミックスカットにされることもあります。

華やかな18Kゴールドリングにセットされた豊かな色合いの7.23ctのジルコンは、まるでヨーロッパの王族の指につけられているように見える。

華やかな18Kゴールドリングにセットされた豊かな色合いの7.23ctのジルコンは、まるでヨーロッパの王族の指につけられているように見える。提供: 1stdibs.com

カラット重量:ジルコンの供給は一般的に限られており、典型的なサイズはその色によって異なります。通常、ブルーやグリーンの石は1カラットから10カラットの範囲であり、イエローおよびオレンジはおよそ5カラットまでです。レッドおよびパープルは、普通もっと小さいサイズです。

ジルコンの処理、お手入れとクリーニング

温かい石鹸水が、ジルコンのクリーニングにお薦めです。超音波洗浄器やスチームクリーナーは、ジルコンのクリーニングにはお薦めできません。ジルコンは青色または無色、あるいはオレンジ、イエロー、レッドにするために一般的に加熱処理されます。ジルコンは光にさらされても一般には変化しませんが、一部の熱処理された石は、明るい光に長時間さらされると、元の色(通常は淡褐色)に戻ることがあります。また一部のジルコンには熱によって色が変化するものがあります。ジルコンは、化学薬品にさらされても安定しています。ジルコンは摩耗しやすいので、ガーデニング、スポーツや皿洗いをする際のような活動的な状況下で、ジルコンを身に付けるのは避けるのが最善です。

このリングの14.48ctのジルコンの色は、森林...草原...草地の広がりを思い起こさせる。

このリングの14.48ctのジルコンの色は、森林…草原…草地の広がりを思い起こさせる。提供: 1stdibs.com

12月の誕生石のショッピングに行く準備はできましたか?お買い物の際には、タンザナイト購入ガイドトルコ石購入ガイドを忘れずにお持ちください!