オパールは10月の誕生石です。オパールの遊色効果はとても魅力的で、魔法のようです。 誰もが欲しがるブラックオパールから、落ち着いた雰囲気のウォーターオパールや燃えるようなファイアーオパールまで、好みの数だけオパールがあります。 あなたのお気に入りを見つけるお手伝いをいたします。
この記事の内容は次のとおりです。
オパールの宝石学的特性
オパールの歴史と伝承
オパールの産地
オパールの購入時に注目すべき品質
オパールの処理、お手入れとクリーニング
10月の誕生石:オパールの宝石学的特性
オパールは大まかに2つのクラスに分類されます。プレシャスオパールとコモンオパールです。 10月の誕生石がプレシャスオパールとするならば、遊色効果(光の波長が虹の色に分かれること)を見せるものということになります。 コモンオパールは、遊色効果を見せません。 オパールは、数十億もの超顕微鏡的なサイズの一様なシリカ球が規則的なパターンで積み重なってできています。 球体のサイズと積み重なり具合により、現れる色(色が見られるとすれば)と彩度が決まります。
オパールがどのように形成されるかは、いまだに謎が残されています。 世界中の数々のオパールの鉱床や異なるオパールのタイプを説明できる科学的モデルはありません。 あるひとつのモデル、風化作用のモデルは、とても有名な分かりやすいモデルです。 このモデルではオパールは、季節的降雨が非常に多く、火山灰や堆積岩などのシリカ(ケイ素と酸素の化合物)に富んだ岩石が豊富な砂漠地帯で形成します。 冬の間、豪雨で地下水面が上昇します。 雨水が岩石の間からぽたぽたと落ち、雨水とともにシリカが運ばれます。
シリカが豊富なこの溶液は、地下水面下の岩石の割れ目や空洞に溜まります。 夏には、砂漠の太陽がその地域を乾燥させ、地下水面は下降していきます。 水分が蒸発すると、シリカの球体がその場に残ります。 このプロセスが何年も何年も、数100万年でも、シリカの球体の層がオパールを形成するまで繰り返されます。
宝石学者は、箱に入れられた小さなピンポン球のように積み重ねられたシリカ球により光が回折されることで生じるオパールのまばゆい遊色効果から、オパールに愛情を持っています。 またオパールがもつ無数のパターンや色にも惚れ込んでいます。2つとしてまったく同じオパールはありません。
パターンとはオパールの遊色効果の配置です。 業界ではオパールの遊色効果パターンを3つのタイプに分類しています。
- ピンファイアー:極小の色の斑点、または「点(ドット)」
- フラッシュ:大きな色のエリア
- ハーレクイン:大きく、はっきりとした、通常は長方形の色の斑点で、角が互いに触れ合っている。 ハーレクイン型は非常に稀少で最も価値が高いと多くの人がとらえている。
GIAは数多いオパールの変種を7つに分類しています。
- ブラックオパール:バックグランドカラーは通常は半透明から不透明までの範囲の黒からダークグレーだが、青色、緑色、または茶色で光の反射により黒に見えるものもある。優れた遊色効果を見せるものがある。
- ホワイトオパール:バックグランドカラーは半透明の白から中間的なグレーで、遊色効果がある。
- クリスタルオパール:バックグランドカラーは透明から亜透明の範囲で、良好な遊色効果がある。
- ウォーターオパール:バックグランドカラーは、透明から半透明の範囲で、カラーレス、白、パープル、ブラウニッシュ、青、青緑がある。遊色効果は少しか、まったくない。
- ファイアーオパール:バックグランドカラーは透明から半透明の範囲で、イエロー、オレンジ、赤みがかったオレンジ、または赤がある。遊色効果を呈するものと呈しないものがある。
- ボルダーオパール:石基すなわち母岩となっている岩石の一部を完成品の宝石に含む。遊色効果がある。
- アセンブルド・オパール:宝石オパールの層、またはオパールとその他の素材の層で、耐久性と外観を向上させるために貼り合わせられている。 アセンブルド・オパールは、ダブレット(黒に着色したカルセドニー、ガラス、コモンオパールまたは母岩を裏材にして薄いオパールの層を貼り付けたもの)と、トリプレット(ドーム状のカラーレスのクォーツまたは透明のガラスを上側にし、黒に着色したカルセドニー、コモンオパールまたはガラスを裏材にして、オパールの薄い層を間に挟んで貼り付けたもの)の2種類がある。
10月の誕生石:オパールの歴史と伝承
10月の誕生石に見られるドラマチックな遊色効果は、多くの作家によって花火、銀河、火山などになぞらえられてきました。 ベドウィンにも、オパールは稲光を蓄えていて嵐のときに空から落ちてくるという興味深い伝承がありました。 古代ギリシャでは、オパールは予言と病気からの保護を授けると考えられていました。 ヨーロッパでは長い間、オパールを純潔、希望、真実の象徴としていました。 何百年も昔、オパールはカラーストーンのすべての美徳と力をまとめていると信じられていました。
しかしオパールには、ネガティブな連想もつきまといます。 こういった迷信は、ジェムカッターが始めたものでしょう。カッティングやセッティングのときのオパールの欠けやすさにイライラしていたのです。 宝石細工職人は通常、石のあらゆるダメージに責任があったため、オパールは運が悪いという噂を広げたのかもしれません。 サー・ウォルター・スコットの小説『Anne of Geierstein』から来る誤解もこの宝石が呪われているという迷信が広まるのを後押ししていました。小説ではオパールを身につけたレディ・ハーマイニーが、彼女の魔法を解いた呪文を破ってしまうという役割をします。
こちらはローマ時代の学者、プリニウス(紀元23〜79年)がオパールの魅力に関して語った最後の言葉です。「オパールには、カーバンクル[当時は赤い石をまとめてこう呼んだ][at the time, any of several red gemstones]よりも柔らかな炎の色や、アメシストのきらめくパープル、エメラルドの海のような緑色もある。すべてが驚くほどに融合し、ともに輝いている。 画家が描く色に匹敵する燦然とした輝きの豪華さを呈するものもあれば、燃えさかる硫黄の炎や油を注いで一層燃え上がる炎を見せるものもある。」
シカゴのフィールド自然史博物館の宝石コレクションにあるサン・ゴッド・オパールは、そのユニークさと由来から有名です。 その35ctのカボション石には人の顔型が彫られており、ゴールドの炎に囲まれています。 ホープダイヤモンドで名高いホープファミリーが所有していたこともあるサン・ゴールド・オパールは、16世紀にメキシコで発見されたと言われています。
10月の誕生石: オパールの産地
オパールは数多くの場所で見つかります。 10月の誕生石であるオパールについて世界で最も生産高が多いのは、オーストラリアの原野です。 エチオピア、メキシコ、ブラジルも重要な鉱床です。 他にも中央ヨーロッパ、ホンジュラス、インドネシア、マダガスカル、ペルー、トルコ、アメリカでも、鉱床が見つかっています。
オーストラリアのニューサウスウェールズ州に位置する小さな街、ライトニング・リッジは、評価の高いブラックオパールを産出することで有名です。 低木の枝だけが和らぎを見せる乾燥してごつごつとした土地のライトニング・リッジは、雨がほとんと降らず、夏の痛烈な暑さに焼かれます。 気候が非常に厳しく、鉱山労働者は過酷な暑さから一息つくために地下住居に住むケースが多いです。
オーストラリアはまた、別のタイプの10月の誕生石の原産地でもあります。 ホワイトオパールはニューサウスウェールズ州のホワイトクリフ地域、また南オーストラリア州のミンタビー、アンダムーカ、クーバーペディでも見られます。 ボルダーオパールは世界でも1つの地域でしか見つかっておらず、クィーンズランドで採鉱されます。
エチオピアでは、10月の誕生石であるオパールはウォロ州のウェゲルテナの村の近くで見つかります。 首都アディスアベバから340マイル北、高度8000フィートまで旅をすると、台地の横から掘り進められた立坑から鉱山労働者がオパールを引き出しているところに着きます。 ここで掘り出される宝石の地色は、白、イエロー、オレンジ、茶色がかった赤から、チョコレートブラウンまであります。 遊色効果を呈するオパールもあります。 エチオピアのシェワ州にある別の鉱山は、誰もが欲しがる濃い色のブラックオパール、またオレンジ、ホワイト、クリスタルオパールも産出します。 この宝物は、地形の上にそびえる絶壁の下に埋もれています。
メキシコの州のひとつ、ケレタロは、イエロー、オレンジ、赤みがかったオレンジから赤のファイアーオパールを産出することで知られています。中には遊色効果を呈するものもあります。 鉱山は観光地で、そこにたどり着くには、松とオークの密林の中の砂利道を行き、サボテンと低木で鬱蒼とした高台を過ぎ、曲がりくねった山道を通らなければなりません。 ケレタロの街は10月の誕生石オパールに値します。威厳のある植民地時代の建築様式と快活な広場によって、街はユネスコ世界遺産に登録されました。
ホワイトオパールはブラジル北東部のピアウイ州で見つかります。 毎年行われるジャズ&ブルースフェスティバルで有名なペドロセグンドの街は、鉱山の近くにあります。 低木とやぶが景色を彩ります。 目的地は遠く、たどり着くには大変です。
10月の誕生石:オパールの購入時に注目すべき品質
オパールの購入は、芸術作品の購入と似ています。つまり、好みの問題です。 オパールの価値を決めるのも極めて主観的で、どういった性質がオパールの価値を上げるか下げるか、業界メンバーで意見が合わないことがよくあります。 それでも、賢く買い物をするために使えるガイドラインはあります。
色:バックグランドカラーと遊色効果のコンビネーションが作り出すオパールの色。
- バックグランドカラーはオパールの基本の色相です。 バックグランドカラーによって、他より高く評価されるものがあります。 他の品質要因がすべて同等の場合、多くのバイヤーが黒を好みます。 遊色効果は暗いバックグランドによく映えるからというのが一つの理由です。
- 遊色効果はオパールに独特に見られる虹色のきらめきです。 オパール愛好家は、淡い遊色効果よりも鮮やかな遊色効果を高く評価します。 価値のあるオパールのほとんどが、石全体のどの角度からでも、赤から青までの全範囲の色相の遊色効果を見せます。 遊色効果の色相は必ずバックグランドカラーと対照的です。
クラリティ:オパールでは、クラリティとは透明度の度合いと、インクルージョンやブレミッシュの少なさを意味します。 オパールの透明性は、透明から不透明までの範囲があります。 専門家は、オパールのタイプごとに異なるレベルの透明性を評価します。 ひび割れ(下記参照)とピットは、オパールのインクルージョンやブレミッシュの問題の一例です。
カット:カッターは宝石の仕上がりを計画するとき、オパールの色、クラリティ、パターンを考慮します。 一般的に、好家は、小さな点々が散った模様よりも、大きな色の斑が密集するパターンを好みます。
多くの最高品質のカラーストーンと同様に、特別なオパールは、標準的なサイズや形状にカットされないことがあります。 カボションと呼ばれるドーム型の表面は、最良の遊色効果を呈します。
カラット重量:オパールにはさまざまなサイズがあります。 しかし、一般的にオバールは、ジュエリーにセットしやすいように、6 x 4、7 x 5、8 x 6、10 x 8(単位:mm)などの規格化されたサイズのカボションにカットされます。
10月の誕生石:オパールの処理、お手入れとクリーニング
オパールには、オイルやワックス、プラスチックの含浸、または砂糖処理やスモーク処理と呼ばれる表面の改変といった処理が施されることがあります。遊色効果やバックグランドカラーを強調するためです。
処理を施していないオパールは通常安定していますが、強い光から来る熱により、クレイジングと呼ばれるひび割れの線を生じます。 高熱や突発的な温度変化もオパールのフラクチャーを起こす原因になります。 フッ酸と苛性アルカリ溶液により10月の誕生石オパールはダメージを受けます。 オパールは乾燥した場所に保管しないでください。湿度が足りない場合も、石にダメージを与えます。 柔らかい、パッドのついた布製バッグが適しています。金庫はあまり理想的ではありません(乾燥しているからです)。
10月の誕生石をきれいにする最も安全な方法は、温かい石鹸水です。 他のクリーニング方法はオパールや充填素材にダメージを与えることがあります。 水に長いことさらすと、ダブレットやトリプレットのオパールの粘着性が弱まることに注意してください。
オパールは、モース硬度スケールの5〜6.5です。 オパールよりも硬い宝石のついたジュエリーによる傷を避けるため、単独で保管しましょう。 ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドは、10月の誕生石に傷を与えてしまう宝石の一例です。
10月の誕生石に夢中ですか? GIAのオパール購入ガイドが素敵な一品を選ぶために役立ちます。