意外にも、Portuguese(ポーチュギーズ)と呼ばれる127.01カラットのダイヤモンドは、その名前が示す国(ポルトガル)とは何の関係もないようです。このダイヤモンドは1700年代半ばにブラジルで発掘され、ポルトガル王室が所有していたと主張する伝説があります。しかし、この話を裏付ける証拠はありません。その代わり、このダイヤモンドは1910年、南アフリカ、キンバリーのプレミア鉱山で発見されたことを示す記録があります。

写真:Peter Macdiarmid/Getty Images(ゲッティ イメージズ)

Portuguese(ポーチュギーズ)は128.01カラットのAsscher(アッシャー)カットダイヤモンドで、GIAによりVS1のクラリティ、Mカラー、ベリー ストロング ブルーの蛍光があるとグレードされた。写真撮影:Chip Clark、提供:Smithsonian Institution(スミソニアン協会)

Portuguese(ポーチュギーズ)は、時に「オーバーブルー(青みが強過ぎる)」と言われる典型的な例です。ダイヤモンドの中には、紫外線(UV)照射により蛍光と呼ばれる可視光を発するものがあります。このようなブルーの蛍光があるダイヤモンドにはごくわずかな割合で、Portuguese(ポーチュギーズ)のように非常に強い蛍光を示し、太陽光に含まれるUV成分により顕著なオイリーな(油っぽい)または霞がかった外観を呈する場合があります。

アメリカのジュエラー、Black, Starr & Frost(ブラック、スター&フロスト)が購入した時はこのダイヤモンドは、150カラットに達するほどの重量のクッション カットでした。このダイヤモンドは、Asscher(アッシャー)と呼ばれる8角形のステップ カットに再カットされ、ダイヤモンドをちりばめたプラチナのチョーカーにセットされました。1928年、Ziegfeld Follies(ジーグフェルド フォリーズ)でデビューした女優、Peggy Hopkins Joyceが、$350,000の価値のあったパールのネックレスに$23,000の現金を合わせ、このダイヤモンド チョーカーと交換しました。

1951年、Harry Winston(ハリー ウィンストン)がJoyceからこのダイヤモンドを買い取り、Winstonの『Court of Jewels』展示の一部として国中を廻りました。現在の名前が付けられたのは、おそらくこの時だと思われます。Smithsonian Institution(スミソニアン協会)が1963年に、合計3,800カラットの小さなダイヤモンドと引き換えにPortuguese(ポーチュギーズ)を入手しました。National Gem Collection(ナショナル ジェム コレクション)の中ではファセット カットされた最大のダイヤモンドで、現在は国立自然史博物館に展示されています。

この記事は2014年5月12日に掲載されました。最終更新日:2019年9月20日