ラボで製造されたダイヤモンドとは?
合成ダイヤモンドは、ラボラトリー グロウン、ラボで生成された、ラボで製造された、人工ダイヤモンドなど、様々な名前で呼ばれています。これらの名称はすべて、合成ダイヤモンドがラボラトリーや工場で作られたものであって、自然の中で生成されて地中から採掘されたものではないという事実を示しています。合成ダイヤモンドのラボラトリーには、高度な技術を駆使して、天然のダイヤモンドが地中で形成される時の条件を模倣しているところもあります。この発生に関する事実こそが、合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドとを区別する主な要因です。合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンドとでは、基本的に化学特性、光学特性、物理特性、そして結晶構造が全く同じだからです。
合成ダイヤモンド史年表
- 1950年代:合成ダイヤモンドは当初、工業目的で高温高圧(HPHT)法を用いて製造され、テレコミュニケーション、レーザー光学、研磨剤など様々な用途に使用された。
- 1970年代:General Electric(ゼネラル エレクトリック)社の研究者が、宝石品質の合成ダイヤモンドを初めて製造した。これらはジュエリー用の宝石として使用するのに十分なクラリティ グレードと大きさであった。
- 1980年代半ば:製造業者による、宝石品質の合成ダイヤモンド結晶の商業的生産が行われた。これらのラボ製造ダイヤモンドは、最初はほとんどが小粒で黄色または茶色がかったものであったが、その後数十年間で品質が改良された。
- 2000年代:ダイヤモンドは、HPHT法よりも低い圧力と温度を要する化学蒸着法(CVD)を使用して製造されるようになった。
- 2010年代半ば:ジュエリー市場では、無色のラボ製造ダイヤモンドが商業規模で入手可能となった。HPHT法とCVD法はいずれも、依然として合成ダイヤモンドの製造に多く使用されている。
合成ダイヤモンドはラボでどのように作られるか?
ラボでのダイヤモンドの製造には、主に二つの方法があります:
1. 高温高圧法(HPHT)
この方法では、天然のダイヤモンドが地中で形成される高圧高温条件を模倣したラボラトリーで合成ダイヤモンドが製造されます。HPHTダイヤモンドは、5~6GPaの圧力(旅客機を人の指先に乗せたと仮定した場合に受ける圧力にほぼ相当)と1300~1600°Cの温度下で成長します。
天然か合成かに関わらず、品質の低いダイヤモンドも、HPHT処理を通してカラーやクラリティを向上させることができます。このプロセスは、ダイヤモンドを無色に近づけることのほかに、ダイヤモンドの色をピンク、ブルーまたはイエローに変える目的でも使用されます。その場合、ダイヤモンドは「処理済み」ダイヤモンドと呼ばれます。
2. 化学蒸着法(CVD)
このより新しい技術により、科学者は適度な温度(700°C~1300°C)とより低い圧力を用いて合成ダイヤモンドを成長させることができます。真空チャンバー内に炭素を含むガスを注入してダイヤモンドの種結晶に付着させ、合成ダイヤモンドとして結晶化させます。ダイヤモンドの最終的なサイズは、成長に費やした時間によって決まります。
合成(ラボラトリーグロウン)ダイヤモンドとは?
天然ダイヤモンドは、数百万年から数十億年前に地球のマントルで形成され、その後、キンバーライトやランプロアイトの爆発的な噴出によって地表に運ばれました。多くの場合、天然ダイヤモンドの中には魅力的なインクルージョンが取り込まれています。合成(ラボラトリーグロウン)ダイヤモンドは、肉眼では天然ダイヤモンドと同じに見え、両者を識別するには、通常、高度な機器を備えた研究所での検査が必要です。
ラボで製造されたダイヤモンドのグレーディング方法
GIAでは、合成ダイヤモンドは天然ダイヤモンドのグレーディング プロセスと同様の厳格なプロセスを経ます。グレーディング用の宝石をお預かりする際、GIAではどのような石かの判定と同時に、施された可能性のある処理の検出のために、検査を行います。分析方法には、インクルージョンおよび、蛍光やリン光の反応の観察も含まれます。ダイヤモンドがラボで製造されたものだと判明した場合、GIAはラボラトリー グロウン ダイヤモンド レポートを発行します。消費者保護のための追加の警戒措置として、GIAでは、ダイヤモンドのガードルにレポート番号と、ダイヤモンドがラボで製造されたものであることを示す文字のレーザー刻印も行います。
ラボで製造されたダイヤモンドは、ダイヤモンドの代わりとして人気を集めています。採鉱されたダイヤモンドと同じ美しさや特性を持ち、しかも多くの場合ダイヤモンドよりも価格が手頃であるためです。検討しているダイヤモンドがラボで製造されたものか天然のものかに関わらず、GIAダイヤモンド レポート付きの石を購入し、石の由来や品質について知っておきましょう。