ダイヤモンドの処理

ダイヤモンドの天然の要素を変化させる

GIA撮影

処理は石のカラークラリティを向上させることができますが、そのようなエンハンスメントはダイヤモンドの価値に影響を与える可能性があります。特に価格が処理後の外観を反映する場合は多大な影響を及ぼします。

バイヤーには、石が天然のものかダイヤモンド類似石なのか、またはラボで製造されたダイヤモンドなのか、さらには外観を改善するために処理が施されているのかどうかを確実に知る権利があります。

カラー エンハンスメント

カラー エンハンスメントが施されたダイヤモンドの多くは市場であまり見かけませんが、GIAは処理の有無を確かめるため、グレーディングを行うすべての石を検査します。

コーティングは、望ましくない地色を化学物質やプラスチックのごく薄い層で覆い、ダイヤモンドのカラーを改善するものです。また、ダイヤモンド類似石の表面にラボラトリー グロウン ダイヤモンドの薄い膜を被せ、本物のダイヤモンドの特徴をある程度もたせるというコーティング方法もあります。

HPHTは、高圧(high-pressure)、高温(high-temperature)の略です。このプロセスは、一部のダイヤモンドのカラーを無色、ピンク、ブルー、グリーン、イエローイッシュ グリーン、イエローなどに改変するための効果的な手法となっています。こうしたトリートメントは、設備の整ったグレーディング ラボでなければ実質的に検出不可能です。

上の6.61ctのダイヤモンドは、色を除去するためのHPHTアニーリング処理前後の石。左のアニーリング前のダイヤモンドのカラーはファンシー イエロー ブラウンとみなされた。右はアニーリング後で、このダイヤモンドのカラー グレードは「L」(フェイント イエロー)である。

上の6.61ctのダイヤモンドは、色を除去するためのHPHTアニーリング処理前後の石。左のアニーリング前のダイヤモンドのカラーはファンシー イエローブラウンとみなされた。右はアニーリング後で、このダイヤモンドのカラー グレードは「L」(フェイント イエロー)である。

クラリティ エンハンスメント

ダイヤモンドの見た目のクラリティを改善する主な方法は二つあります。レーザー ドリリングとフラクチャー充填です。

レーザー ドリリングは、小さくて色の濃いインクルージョンを除去するために一般的に用いられます。レーザーでダイヤモンド内に小さな穴をあけインクルージョンを焼いて除去するか、または溝を作りそこから漂白剤を流し込むか、いずれかの方法でインクルージョンの外観を改善します。

この3.28ctのラウンド ブリリアント カットのダイヤモンド(倍率63倍の拡大下)には、インクルージョンを取り除くためのレーザー ドリリング処理が施されている。

この3.28ctのラウンド ブリリアント カットのダイヤモンド(倍率63倍の拡大下)には、インクルージョンを取り除くためのレーザー ドリリング処理が施されている。

フラクチャー充填は、「フェザー」と呼ばれるダイヤモンド内の白いフラクチャーを隠す処理です。ガラス状の物質をフラクチャー内に注入し、フラクチャーを目立たなくすることによって石の見た目のクラリティを改善します。ただし、充填剤は通常のクリーニングや修理の際に損傷を受けたり、除去されたりすることがあるため、この手法については賛否両論があります。良質のフラクチャー充填は非常に巧みなため、その識別には熟練したダイヤモンド グレーダーによる検査が必要となります。

GIAダイヤモンド グレーディング レポートは、ダイヤモンドに処理が施されたかどうか識別するのにどのように役立ちますか?

GIAは、コーティングやフラクチャー充填のような一時的または不安定と思われる処理が施されたダイヤモンドについては、一切グレーディング レポートを発行しません。

レーザー ドリル処理やHPHT処理を施したダイヤモンドについてはレポートを発行し、これらの処理の事実につきレポートで開示します。さらなる警戒措置として、カラー トリートメントが施されたダイヤモンドのガードルにはその旨をレーザーで刻印します。